いかに生き、いかに死ぬか

圓應寺 住職法話

住職法話 第58回

緩和ケア医療に学ぶ生と死
【生と死の考察】59~65

「最期を迎えるに当たってご家族に説明する内容」

 皆様明けましておめでとう御座います。
 新しい年になりましたので、今回の最初の項目は私の年賀状を掲載します。
 前回のこの項では、公益財団法人「日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団」の調査(2012年)について2回にわたり紹介しましたが、今回は最期を迎えるに当たってご家族に説明する内容について述べます。

Ⅱ-59. 今年の私の年賀状です

 皆様と共に新年を迎えることが出来たことに感謝しております。
 転変地変、地球と世界は激動と困難の時代なのでしょうか。昨年二月、お釈迦様の生誕地・ネパールを訪ねましたが、世界遺産の寺院(写真)は、その二ヶ月後には大きな被害に遭ってしまいました。
 一方パリのテロ事件をはじめ世界情勢は「戦争状態」とも。日本社会も意図しない方向に進んでいないか心配です。
 今年は、平和な世界と皆様にとって良き一年でありますことをご祈念申し上げます。

平成二十八年元旦

Ⅱ-60. 緩和ケア病棟の経験から ~ 看取りへの想い   ~

◆ 最期を迎えるに当たって家族に説明 1

 患者さんが人生の終焉を迎えようとする頃、緩和ケア病棟ではご家族に対していくつかの説明をします。 私の経験からその内容を紹介することとします。
 容体は日により時間によって変化が大きいことを説明した上で、

  1. 口の渇きや体力低下で飲み込み困難になること。また、誤嚥によって肺に入る危険があること。そのためガーゼや綿棒で口内を潤す方法も考えること。
  2. 患者さんは身の置き所のないようなだるさを感じてしまうこともあること。したがって身体をさすって上げることも必要であり、場合によっては安定剤や睡眠剤で休息していただくことも。
  3. 血流不足で手足の冷え、冷や汗の場合もあり、この場合もさすりや、ときには湯たんぽ等の利用も。

Ⅱ-61. 緩和ケア病棟の経験から ~ 看取りへの想い ~

◆ 最期を迎えるに当たって家族に説明 2

  1. せん妄状態になることもあること。夢と現実が入り交ったり、幻視幻聴がでることも。その場合は患者さんの話をすぐ否定してはより混乱してしまうので、ご本人にこちらが合わせるようにすること。
  2. 傾眠傾向となり、日中でもウトウトして眠る時間が長くなること。会いたい人や大事な話は早めにしておくことが必要に。又、身体に触られていることで、心地よさや安心感も得られること。

Ⅱ-62. 緩和ケア病棟の経験から ~ 看取りへの想い ~

◆ 最期を迎えるに当たって家族に説明 3

  1. つらい症状が取れない場合。痛み、息苦しさ、だるさ等のつらい症状がどのような方法でも緩和出来ない場合は、ご家族と相談の上、薬で眠っていただくことも
  2. その場合、話が出来る機会が減ってしまうこと、場合によっては病状により自然の昏睡と重なり薬を止めても覚醒が難しいこともあり得ること。

Ⅱ-63. 緩和ケア病棟の経験から ~ 看取りへの想い ~

◆ 家族の役割 その具体例 1

 人生の最期を迎える時期、ご家族関係者には患者さんに対して大きな役割があります。
 それは、感謝の心と言葉です。

  • 「お父さん有り難う!」
  • 「家族みんなのために頑張ってくれたネ」
  • 「東京での就職認めてくれて有り難う、お陰で幸せにやっているヨ!」

等々、感謝の心だけではダメ、きちんと言葉にして言うことが大切です!

Ⅱ-64. 緩和ケア病棟の経験から ~ 看取りへの想い ~

◆ 家族の役割 その具体例 2

 亡くなって逝く人はすべて孤独です‥‥‥。しかし「耳だけは長く働いているのでは‥‥」と言われています。そこで「周りに人がいるヨ!」ということで声を出したり、ラジカセ等の音。あるいは生活音が聞こえるようドアを開けておくこともあります。
 聴覚はこのような状態でも保たれているのです。したがって枕元での「葬式の準備を!」 「先生あとどれくらいですか?」などの会話は患者さんにどのように伝わるでしょうか。

Ⅱ-65. 緩和ケア病棟の経験から
 ~ 10年間米国認定の音楽療法士として活動した佐藤由美子氏 ~ 
(2015.4.10 NHKラジオ深夜)

 「聴覚は最後まで残る感覚、人は考える力がなくなっても感じることは出来る。
 悲しい、イライラ、怖いなど。音楽はこの気持ちに響く」と。