いかに生き、いかに死ぬか

圓應寺 住職法話

住職法話 第188回

Ⅱ

緩和ケア医療に学ぶ生と死
【生と死の考察】204〜209

「すばらしい本「人のさいご」①」

 前回のこの項では、私自身の大腸ポリープ除去のための入院体験について、ポリープ発見から除去術までの経過と想いを2回に亘って述べました。
 今回は、最近目にした本、いのちを閉じていく自然な経過を説明した上で、「いのちを閉じるとき」の状態を臨床的に説明した分かりやすいすばらしい本、「人のさいご」の内容の一部を2回に亘って紹介し、改めて「死」を考たいと思います。今回はその前半です。

Ⅱ-204 この本は

「人のさいご」の表紙

 この本は、「医療法人社団プラタナス桜新町アーバンクリニック」発行の「人のさいご」という総44ページの本です。初版が2024年6月、二版が同年10月です。執筆は同クリニック在宅医療部桜新町ナースケア・ステーションの訪問看護師3人によるものです。一般的にこのような本は、専門家の医師が執筆しているのが多く、看護師の方々の執筆は珍しいのではないでしょうか。そして看護師の立場で書かれているからこそ、全体を通してすごく分かりやすく、特にお迎えが近くなっている方、その家族、関係者の「さいご」のニーズに応える素晴らしい「人のさいご」です。医師ではなく(認定)看護師の方々の寄り添う特性から、分かりやすく理解しやすいものになっているように思うのです。医師では出来ません。どうしても難しく理論的(科学的?)になってしまいます。

Ⅱ-205 本の内容 ~本の「はじめに」~

以下一部を除いて北九州

 どんな本にも「はじめに」の欄はあると思いますが、この本の「ばじめに」を見て(読んで)チョット驚きました。「『近い将来、お別れのときがくるかもしれない』そう気づいたとき、多くの人は戸惑いや不安を感じるのではないでしょうか」と「人のさいご」の状況を投げかけて、「残されている大切な時間を、どう過ごしたらいいか~略~困ったときや不安なとき、誰に相談したらいいのか」、さいごに近づいた段階での問題や課題を提示した上で、「この本は、日々、看取りの場で人々に寄り添いつづけている在宅医療・ケア関係者が、知識と経験をもとにひとのさいごに訪れる道すじを伝えるものです」と本を紹介しています。ところが、この「はじめに」の最後に、「『読むのが怖いな』と思ったら、無理をしなくて大丈夫です。そばにいる信頼できる人に代わりに読んでおいてもらってもいいと思います」のただし書きがあり、場合によっては読まなくとも良いと語っているのです。ここにこの本に一貫して通る患者さん(家族も)に寄り添う姿勢が見事に出でいるのです。

Ⅱ-206 本の内容~「人のさいご」 ~①「病気によるプロセスの違いって?」

 この図を示しながら「自然な老いや認知症では身体の機能が少しずつ衰えていき、がんの場合は直前まで身体の機能が保たれる傾向があります。図のように老いや病気によって異なったプロセツを経て・・・(略)」と亡くなり方とその経過の違いを紹介しています。

Ⅱ-207 本の内容 ~「人のさいご」 ~②「『いま』の時間を大切にする」

 「『いま、できること』は常に変わりつづけます。それは、できることが無くなることではなく、お別れの時まで形を変えながら『いま、できること』が存在しつづける、ということでもあります。いつかやろうと思ってできていなかったことや、行きたいとおもいつつも行けなかった場所、会いたい人や、伝えたい言葉などありませんか。」と問いかけた上で、「~略~『どうせ無理だから』と思わずに、そばにいる医療・ケアの専門家に話してみてください」と提起。その専門家は「『叶える手立てを一緒に考えたい』と思っているはずです」と。私の現職時代にも緩和ケア病棟で患者さんから「○○さんに会いたい」「○○に行きたい」などの相談を受け、患者さんに変わって連絡をとったり、ご家族と相談したことも何回となくありました。ゼヒ最寄りの医療・福祉関係者にご相談ください。

 又、それとは逆になるかも知れませんが、当時の緩和ケア病棟で患者さんに頂いた貴重な教え、「この病気になる前に気づいていれば・・・アノ人に会いたい、アレをしておけば良かった等々が沢山。(タルイシさん)ゼヒ元気なうちにやるべきことはやっておいてください!」があります。このことについては別の項でも触れてきましたが、特に第Ⅲ項「有限の人生そして「死」を意識して」の第Ⅲ項203以降で述べています。私自身、現在のところは「人のさいご」に近づきつつあるも、そのチョット手前の時期にあります。自分自身の年齢(「死」)を意識し、できるだけ早く、今のうちに成し遂げておくべきことを日頃から考えていますが、その中で「アノ方に会っておきたい」という思いから会うことが出来た件について述べています。

Ⅱ-208 本の内容 ~「人のさいご」 ~③「自分自身のことに集中していく」

 「外交的で周りの人の気持ちに配慮していた人も、社会の動きに敏感で博識だった人も、関心の向かう先が『社会や周囲の人々』から『自分自身』に変化していきます。~略~自分の欲求に正直になっていくことも、それは自然なことです。積み重ねてきた『あなたらしさ』は、ちゃんと周囲の大切な人たちの中に生きています」と。そうですネ、「人のさいご」はこのように変わっていくんですネ。

Ⅱ-209 本の内容 ~「人のさいご」~④「食べること、飲むこと」

 「『身体が食べ物を欲さず、食べたいと思わなくなる』という変化が起こります。身体の消化機能が少しずつそのスピードを落としていくことによる反応で、自然な経過のひとつです。無理はせず、食べたいときに、食べたいものを、食べたい分だけ、食べられればよいのです。氷やアイスクリーム、ゼリーといったさっぱりしたものを好むことが多いですが、好みは人それぞれですので、美味しいと思えるものを探してみてください。少しならお酒もいいかもしれません」と。私ごとで大変恐縮ですが、この「少しならお酒も・・・」、私もゼヒあやかりたいものです。尚、現職時の緩和ケア病棟では、お酒も容認していました(念のため)。