いかに生き、いかに死ぬか

圓應寺 住職法話

住職法話 第83回

緩和ケア医療に学ぶ生と死
【生と死の考察】88~91

「東北緩和ケア研究会“いかに生きいかに死ぬか ~緩和ケア医療に学ぶ 生活に生かす仏教~” 3」

 前回のこの項では、これまでの流れを一時中断して、2016年10月22日開催された「東北緩和ケア研究会」で私が発表した「いかに生きいかに死ぬか ~緩和ケア医療に学ぶ 生活に生かす仏教~」の 2回目を掲載しました。今回はその3回目(最終)です。

Ⅱ-88 生活に生かす仏教 ⑦ ~現代の名僧の言葉 ⅰ ~

本堂内陣

 現代の名僧の言葉を二つご紹介します。その一つは滋賀県・興福寺住職の西村恵信師の言葉です。「死亡の日から逆算したら今日という一日は一番若い日」という教えです。
 たしかに、誰にとっても、たとえ高齢者であっても「今日は一番若い日」なのです。高齢者が「もう歳だから…」と言う方がおりますが、その方にとっても「今日は一番若い日なのです」。今日を大切に、しっかり生きたいものです。
 昔から「時は金なり」という諺がありますが、貴方そして私の持っている時間という貨幣は、減ることがあっても決して増えることはありません・。 又、貴方が持っている時間を最愛の方にプレゼントすることは出来ませんし頂くことも出来ない、貴方固有のものです。その時間という貨幣をどのように使うかは貴方自身しか決められないものなのです。

Ⅱ-89 生活に生かす仏教 ⑧ ~現代の名僧の言葉 ⅱ ~

永代供養塔ロッカー式仏壇

 二つめは、長崎県・禅心寺住職 金子真介師の言葉です。「人間のいのちは一本のローソクに火をつけたようなものである。燃えながら、照らしながら刻々刻々と減ってゆく。減ってゆくいのちを減らぬようにすることは誰にもできない。ただ、どこをどのように照らしてゆくか、これだけが人間に与えられたたったひとつの自由である」と。
 実にすばらしい言葉ではないでしょうか。私は師の言葉の最後にある「人間に与えられたたったひとつの自由である」を、誠に勝手ながら「人間に与えられたたったひとつの課題である」に置き換えて読んでいるところです。
 そして自分の課題に向かって

◆発 心「さあやるぞ!」と心を奮い立たせ
◆決 心心に決めて実行し
◆持続心そしてそれをやり続けることが求められるのです

Ⅱ-90 その他の日常活動

東日本大震災慰霊・復興祈願法要
  1. 分かり易いお経の一環として、宗派作成の「智山勤行聖典」を基に、解釈文を挿入した「圓應寺勤行聖典」を作成。法要の冒頭で檀信徒と共にお唱えをします。
  2. 御詠歌教室を月二回開催。定年退職の年に始めましたので13年になります。現在32人の講員さんとなっており、寺の行事などには欠かせない存在です。昨年の「東日本大震災七回忌慰霊並びに復興祈願法要」においても活躍されました。4月の観音祭礼、7月の檀家総会でも奉詠予定です。又、昨年6月の「遍照講東北北海道盛岡大会」にも参加して来ました。
  3. ご詠歌教室時に「寺子屋講座」を行っています。僅か5~10分間ですが、仏教の基礎知識を私なりの言葉とパワーポイントで説明しています。月二回ですのでかなりの分量になり、今後も続けていくつもりでおります。
  4. 毎年の「東日本大震災慰霊と復興祈願法要」時に、ご挨拶とお礼にプラスして法話を行ってきました。(昨年、平成29年で震災法要は区切りとさせていただきました)
  5. 各種講演「いかに生きいかに死ぬか」
  6. そしてこのホームページ「いかに生きいかに死ぬか」の発信です。毎月更新しておりますが、更新の日が直ぐ来てしまいます。

Ⅱ-91 まとめ

永代供養塔内部 個別仏壇式納骨廟

 「東北緩和ケア研究会」で発表した「いかに生きいかに死ぬか ~緩和ケア医療に学ぶ 生活に生かす仏教~」を3回に分けて述べました。限られたこの 人生を「いかに生きいかに死ぬか」は私たちにとって究極のテーマですが、全ての生き物の中で人間にだけ与えられた課題なのです。「『いのち』は目に見えない→ では何か?「 『いのち』とは、自分が自分の意図で活用できる時間である」(2017年7月18日、105歳で亡くなられた日野原重明先生)。そしてどなたの言葉でしたか記憶にありませんが、「人のために尽くす人を『菩薩(行)』という。何もしない人を 『????』としている人と言う」。『????』の答えは 「ぼさっと」している人と。
 以上が、人生最後の発表となった内容です。毎月のホームページ、日頃の法話と講演などでお話しをさせて頂いている内容をまとめたものとなりました。したがって以前のホームページで述べた内容とダブっているところもあります。ご理解頂きますようお願い致します。
 最後に、機会を頂いた学会関係者の方々に感謝申し上げます。有り難うございました。