圓應寺 住職法話
住職法話 第8回
Ⅱ
緩和ケア医療に学ぶ生と死
【生と死の考察】5~8
「緩和ケア病棟の規模と設備」
Ⅱ-5.緩和ケア病棟の規模と設備
日本初の緩和ケア病棟
1981(昭和56)年、浜松・聖隷三方原病院に初めて登場しました。以後年々増え続け、現在では200を越えております。その規模(病床数等々)、設備内容は、それぞれの施設によって異なりますが、病棟について具体的イメージを持っていただくために、山形県立中央病院緩和ケア病棟の内容を紹介します。
山形県立中央病院緩和ケア病棟の規模と設備
- 病院の一階に併設、県の「健康の森」に隣接しており、病室から直接「健康の森」に出入り出来ます。又、病棟は独立した玄関を持ち、24時間出入りOKとなっています。
- 病床数は15床。全室個室でその内4室が有料個室となっています。
- 全室トイレ、シャワー(有料個室は風呂)、ソファーベット(家族の付き添い、宿泊可)、丸テーブル・椅子、インターネットOK
- 病棟内に食堂兼談話室・面談室・家族宿泊室・厨房・浴室・介護用浴室・ボランティア室・病棟専用の中庭と駐車場等があります。
Ⅱ-6.スタッフと入院費
スタッフ
- 緩和ケア専門医1人
- 緩和ケア病棟担当医4人(兼務)
- 看護師18人
(緩和ケア認定看護師1名を含む) - 医療福祉相談員1(兼務)
- 薬剤師1(兼務)
- 栄養士1(兼務)
- 他にボランティア10数名
入院費用
入院費用については、個室であることや手厚い看護サービスや設備などから、多くの方々が一般病棟よりかなり高いイメージを持っておりますが、一日38,000円(国保の場合はその3割負担)で、一般の病棟は40,000円を越えますので緩和ケア病棟の方が安いということになります。
Ⅱ-7.病棟に入る(入院)ための条件
- 本人と家族にガンの告知がされていること
- 余命3~6ヶ月(本人への告知は絶対条件ではない)
- 緩和ケア病棟条件の理解していただくこと
- 心身の痛みの緩和を専門に行う病棟であり、大きな手術、抗ガン剤使用などの積極的治療はしないこと。又積極的延命治療も縮めることもしないことを理解いただいた上で、入棟(入院)となります。
- 院外からの入棟についての窓口は、ご自身の医療科(内科、外科、婦人科等々)の主治医から当院の医療科に紹介を頂く事になります。(窓口は緩和ケア病棟ではありません)
Ⅱ-8.出来るだけ自宅生活に近い環境で
以上ご覧いただいたとおり、緩和ケア病棟の「入院生活」は、患者さん自身の自宅生活に出来るだけ近い状態で入院していただくように配慮しています。
外泊、外出、面会等々の自由はその表れですが、詳細についてはⅠ~Ⅴを一巡して、次回の「Ⅱ 緩和ケア医療に学ぶ生と死」で述べることとします。