住職法話

住職法話 「いかに生き、いかに死ぬか」

トップページ > 住職法話 > 第108回(U. 緩和ケア医療に学ぶ生と死 -生と死の考察- 114〜117 )

第108回

(令和2年3月1日)
U.緩和ケア医療に学ぶ生と死

 前回のこの項では、檀家さんの中で印象に残る方の死について2回に亘って考えました。
 今回は冒頭で昨年(2019年)、国立がん研究センターからガンに罹患した場合の5年生存率について発表されましたのでそれを紹介し、 その上で檀家さんの中で印象に残る方の死について3回目としてU氏についてその前半を紹介します。

U−114 【臨時掲載】 ガン 5年生存率

グランドキャニオンで

 「日本人の2人に1人がガンにかかり、3人に1人がガンで死亡」 と言われて久しくなります。そしてガンは治らない恐ろしい病気というイメージを誰でも持っているのではないでしょうか。確かに早期発見が何よりも大事なことのようです。
 さて、そのガンに罹患した場合の5年生存率について、19年12月14日、国立がん研究センターから発表されました。この調査は2010〜11年に「がん」と診断された人の5年後の生存率について、全国の318施設の約65万症例を対象に調べたものです。
 それによると、ガン全体の5年生存率は66.4%で、前年より0.3%伸び、2007年の初回調査以降少しずつ改善傾向にあるとのことです。部位別では、前立腺ガン98.8%、女性乳房92.2%と高く、反対に胆のうガン29.3%、膵臓ガンは9.8%と低くなっています。詳細は次の「ガンの部位と5年生存率」をご覧下さい。
 このように全体として改善傾向にはあるものの厳しい現実でもあります。「繰り返しになりますが、早期発見が何よりも大事」ということになります。
 又、ガンは年齢を重ね高齢になるほど発症率が上がります。しかし高齢者は全員ガンで亡くなるのではありません。高齢者はガン以外の病にかかることも多く、ガンに特化した思考ではなく、体全体への気配りが必要なのではないでしょうか。

ガンの部位と5年生存率

全  体 66.4%
前 立 腺 98.8%
女性乳房 92.2%
子宮体部 82.2%
咽  頭 80.6%
腎  臓 80.1%
子宮頸部 75%
大  腸 72.6%
71.4%
膀  胱 68.4%
腎盂尿管 49%
食  道 45.7%
肝  臓 40.4%
肺、気管 41.4%
胆 の う 29.3%
膵  臓 9.8%

U−115 印象に残る檀家さんの死
   C− 〜 緩和ケア病棟を紹介できた死 〜

U氏は70歳、かつて私が勤務した山形県立中央病院の緩和ケア病棟で亡くなった方です。U氏の兄は、私の小中学時代の同級生で、放課後もよく遊び、U氏のご自宅には日常的にお邪魔した幼なじみの親友です。
 当時の遊びを通して弟のU氏は顔なじみだけでなく、名前を呼び捨てにし、時にはU家のフロに共に入った肌合いの仲でもありました。

U−116 印象に残る檀家さんの死
   C− 〜 緩和ケア病棟を紹介できた死 〜

 そのU氏ですが、がある年突然一人で来寺し「余命半年と言われた、住職宜しく頼む」と。良く伺うと10数年前のガンが再発したとの診断・告知ということでした。突然の申し出に驚いてしまいましたが、「分かった!もしもの時はしっかりお参りして密厳浄土(一般的には極楽浄土)に送るから」と。
 二ヶ月ほどして今度はご夫婦で来寺、前回同様の話しに加えて、「入院するのは嫌で自分の家で死にたいと思っている」と。
 家族は長男が他県、ご自宅はご夫婦と結婚を間近に控えた娘、そして愛犬との生活でした。U氏は「度々入院して病院はもう嫌だ。犬といっしょに妻のもとで…」という気持ちでした。
 しかし勤め人でもある奥さんのもとで終末期を迎えることは現実問題として困難と言わざるを得ません。そこで緩和ケア医療と病棟の概略そして「緩和ケア病棟に入ることも選択の一つ」と説明したのでした。その時のU氏は、私の説明を快く聴いてくれたものの、考えに変わりはない様子でした。

U−117 印象に残る檀家さんの死
   C− 〜 緩和ケア病棟を紹介できた死 〜

 気になっていた私は後日、私の方からU宅を訪問しました。より積極的に緩和ケア病棟の利用を提案したのです。それに止まらず入院に至る具体的手続きと病棟での(入院)生活を説明しました。特に緩和ケア病棟の生活は一般の病棟と異なり、出来るだけ家庭生活に近い過ごし方が出来ること。
 入院も選択肢の一つであり、状況に応じて検討しても良いのではないかとの提案をしました。この日のU氏は来寺した時に比べ少しずつ病状が進んだ感じに思えたのでした。

トップページ > 住職法話 > 第108回(U. 緩和ケア医療に学ぶ生と死 -生と死の考察- 114〜117 )