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住職法話 「いかに生き、いかに死ぬか」

トップページ > 住職法話 > 第101回(X.仏教に見る祈りと教え -仏教を今に生かす「いかに生きるか」の考察- 107〜115)

第101回

(令和元年8月1日)
X.仏教に見る祈りと教え

  この項ではお大師様名言シリーズを3回に渡って述べて来ましたが、今回は一時中断して山形県置賜三十三観音巡礼について述べます。

Xー107 出羽百観音

山形県置賜三十三観音巡礼記

 「山形県内には「最上三十三観音霊場」「庄内三十三観音霊場」「置賜三十三観音霊場」と三十三観音霊場が3カ所もあります(総称して「出羽百観音」)。
 その三霊場が去年の庄内を皮切りとして今年は置賜そして来年は最上霊場の連合ご開帳となりました。これを機に、昨年の庄内巡礼に引き続き、今年の置賜霊場に去る5月14〜15日の一泊二日でお参りに行ってきました。

Xー108 総勢24人の参拝

圓應寺観音堂

 「参拝は、中型バス一台、総勢24人の参加でした。朝5時半に当・圓應寺に集合、一同最上三十三観音の第四番札所である圓應寺観音堂で、巡礼出発の挨拶と巡礼の無事を祈願した後、いよいよバスへの乗車となりました。
 観音様の参拝順は札所順ではなく、時間的に回りやすいコースをバス会社が選定。最初の観音様までは早朝のため車が少なく、約1時間の道のりでした。

Xー109 最初の札所に

 いよいよ札所です。最初の観音様は第20番の仏坂観音です。さぁお参りだ!と、一同バスを元気よく降り歩き出しました。ところがかなりきつい階段と山道、皆さんハアハアの荒息状態で観音堂に到着です。
 先ずはじめに、各人が持参した蝋燭を燭台に灯します。しかし24本を立てる燭台は当然ですがありません。立てて火を灯すことが出来なかった人は、燭台の近くに「灯したつもりで」蝋燭を寝かせた状態で置きます。
 次にお札です。お札には願い事、日付、住所、氏名そして年齢を前もって記入し、それを指定の場所に貼り付けます。私の子供の頃は、住所は番地まで明記しましたが、最近は個人情報からみで町名までの記入が多くなってきているようです。次に、お賽銭を入れ、お参りの準備完了です。

Xー110 フルコースでお参り

 最初の観音様ですので、お参りのお唱えは、基本に沿って次の順番と内容で行いました。最初は「懺悔の文(さんげのもん)」です。
 「我昔より造るところの 諸々の悪業は皆無始の貪瞋癡(とんじんち)に由る身語意より生ずる所なり 一切 我 今 懺悔したてまつる」とお唱えしました。次は「開経の文」で「無上深甚微妙(むじょうじんじんみみょう)の法は 百千萬劫(ひゃくせんまんごう)にも遭い遭うこと難し(あいおうことがたし) われ今見聞し 受持することを得たり 願わくは 如来の真実義を解せんことを」と唱え、つぎは「般若心経」、そして当観音霊場ご詠歌です。
 私が、「唱え奉る置賜三十三観音第20番のご詠歌に〜」と詠題を唱え、続いて詠頭の「のをすぎて」とお唱えした後、その続きを全員で「やまぢにむかふ ほとけさがみねのうすぐもはるるけしきぞ なむかんぜおん なむかんぜおん」と奉詠、終わって「(延命)十句観音経」と続いた後、諸真言として「南無大慈大悲観世音菩薩」「南無家内安全」「南無健康安全」「南無先祖代々の精霊」等々、最後に「普回向(ふえこう)」をお唱えし、20番札所の参拝を終了しました。

Xー111 強行日程も

 置賜札所の事務局としては、「全観音参拝は二泊三日」で回ることを推奨しているのですが、私たちは一泊二日、しかもバスでの行程とあって、次の札所からはご詠歌を中心にした参拝となりました。2番目の札所は13番の関寺観音、3番目は29番松岡観音の順で参拝しました。
 しかしこの二カ所の観音堂はバスを降りてからの道程が最もきつく20番札所同様のきつい階段あり山道ありの参道でした。実は7年前にもご開帳の行事があり、私はそのときも参拝。今回が置賜観音の2回目だったのですが、私も年をとったのでしょうあまり記憶がなく、半ば初めての参拝の状態。私も含め一同「置賜は大変だ!」「最後まで行ける?」の声と声。
 24人の平均年齢74.7歳。最高齢は85歳。杖をつく人が3人の集団(宗団?)にとっては極めてきつい参拝です。必然的に比較的若い人が歩行が大変な方に手を貸し、肩を貸し、荷物を持って一緒に上り下りすることに。観音堂ではお札を貼ってあげる人、蝋燭を備えてあげる人、お賽銭託され代わりに入れてあげる人。いつの間にかみんなで観音参りという光景が出来上がることになったのです。そしてそれが続くことによって一つの心にまとまり一つの宗団となって行くのです。

Xー112 宿舎に

 きついきつい3観音の後は、比較的楽な道中でしたが、足腰の疲れがピーク状態の中、約1時間遅れで置賜地方の名湯・小野川温泉のホテル到着となりました。一休みして食事・宴会です。カラオケなども入り疲れながらも楽しく大いに盛り上がった場となりました。
 飲み物はコースメニューによってアルコールを始め飲みきれない程の量。飲み残した分を中居さんが各部屋に配達。それでも飲みきれず自宅に持ち帰った人もいる程でした。十分に楽しんだ後は名湯に浸っておやすみ……。

Xー113 無事満願

 翌朝は一泊二日の厳しい行程の下、朝食を10分早めて頂き、6時50分。ほとんどの人が今や遅しと朝食会場の前に。そして7時30分にはホテル出発です。最後は8番の深山観音で、最初の20番札所でのお参りと同じ内容で置賜観音の参拝を終了しました。
 二日間お世話頂いたガイドさん。去年の庄内参拝時のガイドさんを指名して来て頂きました。ベテランのガイドさんで高齢者の扱いが抜群、道中バスは最後まで笑いの渦、足腰の疲れを吹き飛ばす状態でした。約1時間後に圓應寺に到着、出発と同様にしっかりお参りし、皆さん「良かったよかった」の連発の中散会となりました

Xー114 もし出来ることなら……

 置賜三十三観音連合ご開帳を実施するに当たり、別当会特に事務局寺院のご苦労は並のものではなかったと思います。お陰様で連合ご開帳のご縁に参拝することが出来ました。ご開帳は5月1日に半年の予定で始まったばかりです。ご本尊様に直接お目にかかれない札所や暗くて見えないところもあり、チョット残念な思いでした。もし出来ることなら日々を重ねる中で少しでも改善されることを今後に期待したいと思います。
 又、参拝者は比較的高齢の方が多いと思いますが、その意味でトイレ事情がもう一つだったように思います。

Xー115 「祈るあなたが観音様」

 さて、参拝の余波は翌日まで続きました。今回初めて参加したAさんがわざわざ来寺して「良かった!」「有り難うございました!」の連発。そして「今回の参拝で私、人生観が変わったと言ってもいいほどです。初日、最初の2・3カ所の札所、バスから観音堂への歩きを見て、杖をついたり、皆さんに手伝ってもらう方が何人かいました。それを見て私は『歩くのが大変なのに、どうして参加したんだろう?』『私の母親が、参加すると言ったら止めたと思う』と感じていた。
 ところが、不自由な人が観音様にお参りに行くために必死な形相をしながらも『お参りしたい!』『ご本尊様に会いたい』という気持ちをみなぎらせて諦めることなく進むその姿を見ているうちに、次第に私の見方、考え方、思いが変わってきたのです。『信仰と言うことはこういうことなのか……』と、そのひたむきな気持ちに気づくことが出来ました。最初の私の思いに恥ずかしい限りですが、その宗教心に出会えて私の人生観が変わったと言ってもいいほどです。参加させて頂き本当に有り難うございました。来年の最上参拝には是非又連れて行ってください。お願いします!」と。
 Aさんに言われて改めて気付いたのですが、参拝二日目には、Aさん自身が歩くのが大変な方に、手を貸し肩を貸していた姿を思い出し、Aさんご自身にとっても素晴らしい参拝になったことを確信したのでした。「祈るあなたが観音様」、これは来年最上三十三観音連合ご開帳のキャッチフレーズです(応募者数約400人、約900の応募作品の中から熊本県の鍬田美奈子さんの作品が選ばれたものです)。Aさんご自身が正に観音様になった想いでした。

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