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住職法話 「いかに生き、いかに死ぬか」

トップページ > 住職法話 > 第95回(W. 日々の生活の質をいかに高めるか -生活の質の考察- 103〜107)

第95回

(平成31年2月1日)
W.日々の生活の質をいかに高めるか

 前回のこの項では、一昨年(2017年)亡くなられた日野原重明先生の教えについて述べましたが、今回は「世界幸福度ランキング2018」について述べます

W−103 「世界幸福デー」

シドニー・オペラハウス

 間もなくやって来る3月20日は、国連が定めた「世界幸福デー」です。この記念日は国民の大多数が幸福を感じているとされる「幸福の国ブータン」が自国の幸福度である「国民総幸福量」の考え方を国連に提唱したものです。提唱したブータンの生活については、2012(平成24)年10月12日付でこのホームページの「その他 住職の略歴・臨時法話など」の項の「5 仏教国・ブータン王国 〜 仏教に生きるブータンの人々 〜 」で詳しく紹介しました。私のブータン旅行体験記でもありましたが、私はそのページで「自分の中の幸せ(心)と自分の外の幸せ(物質)のバランスを大切にする国づくりと生き方、『国民総幸福量(GNH)』の考え方にも学ぶことが多々あるのではないでしょうか」と述べました。そのブータンが提唱して2012年に実現したこの「世界幸福デー」ですが、昨年(18年)この記念日を前に、「世界幸福度ランキング2018」が発表されました。私のブータン体験からも大きな関心を持ったところです。今年も間もなく発表があるのではないかと思いますが、今回は昨年のランキングを見ていきたいと思います。

W−104 世界幸福度ランキングの調査

オペラハウス内部

 国連は昨年3月14日、「世界幸福度ランキング2018」を発表しました。このランキングは156ヶ国の自由度や、所得、健康と寿命、政治、社会福祉の制度などを基に数値化し、ランク付けしたものです。18年の第一位はフィンランド(一昨年の一位はノルウェー)で北欧の国が上位にランクしています。肝心の日本はどうでしょうか。残念ながら上位50ヶ国に入らず、一昨年の51位から順位を落とし、54位でした。幸福感は人それぞれで異なると思いますが、各国で約1,000人を対象にした調査です。

W−105 2018幸福度ランキングベストテン

第1位: フィンランド
第2位: ノルウェー
第3位: デンマーク
第4位: アイスランド
第5位: スイス
第6位: オランダ
第7位: カナダ
第8位: ニュージーランド
第9位: スウェーデン
第10位: オーストラリア

 ちなみに米国は18位、韓国は57位、中国は86位でした。さてもう一つの注目国・ブータンは97位という位置でした。「ランキング作成の数値化の基準が欧米の価値観に沿ったもの」ということが大きく影響しているのではないかとも言われているようです。

W−106 平均寿命と健康寿命

ゴールドコーストの日の出

 この幸福度の前提として、平均寿命はもとより、健康寿命の大切さが問われます。日本の平均寿命については男性も80歳を越え、真に「人生80年」の時代になりましたが、人によっては「人生100年」と聲高に述べる人まで出て来るようになりました。
 この平均寿命と健康寿命については、2015年5月1日付のこの項と2018年11月付の項で詳しく述べましたが、新しい数値では平均寿命と健康寿命の差は、男性8.95年、女性12.47年となっています。この統計から平均寿命との差を縮めること(健康寿命を延ばすこと)、特に女性にその課題が大きいことを示しました。

W−107 「幸福度(感)」をいかに延ばすか

ゴールドコーストの市街地

 この平均寿命と健康寿命の他に、今回紹介した「幸福度(感)」という新たな概念が出てきたのです。平均寿命が世界最高水準で健康寿命も高い水準でありながら、国連の幸福度ランキングで54位というのは「長生きしても余り幸せではない」ということを現しているのでしょうか。確かに健康でも幸せを感じなければその人生は味気ないものになってしまいます。
 それでは幸福度(感)を延ばすにはどうしたらいいのでしょうか。国連の指標は各国の政治や制度を中心にしたポイント制ですが、個人としてどの様な生活を心掛ければいいのでしょうか。私は明確な答えは持ち合わせておりませんが、良く語られるように「私達は人と人の間で生きる『人間』です」。私の生涯のテーマ「いかに生きいかに死ぬか」を前提に、己の時間を自分と共に自分以外の人のために使うことを心掛けようと思っているところです。この項の前回(18年9月1日付)で述べた「自己のための行(修行、日頃の行い、実践)だけでなく、自分以外の人々のための行が大切という教えそのものではないでしょうか。両者相まって自利利他円満となるのです。」という精神を大切にしていきたいと思っています。皆様はどの様にお考えでしょうか。

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