住職法話

住職法話 「いかに生き、いかに死ぬか」

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第94回

(平成31年1月1日)
V.有限の人生そして「死」を意識して

 皆さん、明けましておめでとうございます。「平成」最後の正月となりました。30年間の「平成」を振り返りますと、阪神淡路大震災と東日本大震災をはじめとして実に自然災害の多かった時代のように思います。昨年も日本列島は、大阪北部と北海道胆振東部地震、岡山県を中心とした西日本豪雨、そして度重なる台風の上陸等々大きな自然災害に見舞われました。私達人間の力でその発生を予防出来ることは数少ないと思いますが、少なくともより気象変動を増幅すると言われる「気象温暖化」対策だけは私達の叡智によって対応できるのではないでしょうか。何処かの自国ファースト第一主義大統領の考え方はいただけない思いです。その上で「平成」最後の正月に当たり、新しい元号を迎えるこの一年が平穏無事であることを心から祈るものです。
 さて今回は、「手紙〜親愛なる子供たちへ〜」という詩と歌(ご存知の方も多々おられると思いますが)を紹介し考えたいと思います。
何かの機会に耳にし、ずっと気になっていた詩とその歌です。自分が歳を重ね痴呆も進んだような時に、我が子に託したい心を表した内容です。調べてみると「手紙〜親愛なる子供達へ」という詩・歌でした。原作者は不明で元々の歌詞はポルトガル語で書かれたものを角智織氏が訳し、樋口了一氏が曲付を行いご自身が歌ったものです。年老いた親が親愛なる子供に向けた想いを子育てを想いつつ綴った詩です。
 今回は、この詩を私の人生に置き換える意を込めて紹介、考えたいと思います。尚、詩には一番二番という区切りはありませんが私の判断でページ配分をさせていただきました。

V−98.「手紙 〜親愛なる子供たちへ〜」 @

冬の圓應寺

年老いた私が ある日 今までの私と違っていたとしても
どうかそのままの 私のことを理解して欲しい
私が服の上に 食べ物をこぼしても  靴ひもを結び忘れても
あなたに色んなことを教えたように 見守って欲しい

V−99.「手紙 〜親愛なる子供たちへ〜」 A

あなたと話す時 同じ話を何度も何度も 繰り返しても
その結末を どうかさえぎらずに うなずいて欲しい
あなたにせかまれて 繰り返し読んだ絵本の あたたかな結末は
いつも同じでも 私の心を 平和にしてくれた
悲しいことではないんだ 消えて去って行くように 見える私の心へと
励ましの まなざしを 向けてほしい

V−100. 「手紙 〜親愛なる子供たちへ〜」 B

楽しいひと時に 私が思わず下着を濡らしてしまったり
お風呂に入るのを いやがることきには 思い出して欲しい
あなたを追い回し 何度も着替えさせたり 様々な理由をつけて
いやがるあなたと お風呂に入った 懐かしい日のことを
悲しいことではないんだ 旅立ちの前の準備をしている私に
祝福の祈りを捧げて欲しい

V−101.「手紙 〜親愛なる子供たちへ〜」 C

いずれ歯も弱り 飲み込むことさえ 出来なくなるかも知れない
足も衰えて 立ち上がる事すら 出来なくなったなら
あなたが か弱い足で 立ち上がろうと 私に助けを求めたように
よろめく私に どうかあなたの 手を握らせて欲しい

V−102.「手紙 〜親愛なる子供たちへ〜」 D

私の姿を見て 悲しんだり 自分が無力だと 思わないで欲しい
あなたを抱きしめる力が ないのを知るのは つらい事だけど
私を理解して支えてくれる心だけを 持っていて欲しい
きっとそれだけで それだけで 私には勇気が わいてくるのです
あなたの人生の始まりに 私がしっかりと 付き添ったように
私の人生の終わりに 少しだけ付き添って欲しい

V−103.「手紙 〜親愛なる子供たちへ〜」 E

あなたが生まれてくれたことで 私が受けた多くの喜びと
あなたに対する変らぬ愛を 持って笑顔で答えたい
私の子供たちへ
愛する子供たちへ

V−104.「手紙 〜親愛なる子供たちへ〜」  〜私の想い〜

 今年の私は、誕生日が来ると76歳になります。「後期高齢者」の仲間入り2年目ですが、昨年11月(「『人生80年』時代、そして学会による高齢者の定義について」)に述べた「老人は75歳から」という提言からも、間違いなく立派な(?)老人の一員に他なりません。
 私のテーマ「いかに生きいかに死ぬか」を論ずる私自身、テーマの後半「いかに死ぬか」に敏感になってきた感じがあります。この様なときに今回紹介した詩に出会い、何か子育ての頃を想い起こしながら響くものを感じたのです。
 毎年、正月に子供と孫を含めた身内大新年会を開いています。直系身内全員が集まるこの機会に、昨年は「延命治療不要」の文書を配布しました。今年はこの「手紙 〜親愛なる子供たちへ〜」を私の想いを込めて紹介、配布するつもりです。

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