第83回
(平成30年2月1日)前回のこの項では、これまでの流れを一時中断して、2016年10月22日開催された「東北緩和ケア研究会」で私が発表した「いかに生きいかに死ぬか 〜緩和ケア医療に学ぶ 生活に生かす仏教〜」の 2回目を掲載しました。今回はその3回目(最終)です。
現代の名僧の言葉を二つご紹介します。その一つは滋賀県・興福寺住職の西村恵信師の言葉です。「死亡の日から逆算したら今日という一日は一番若い日」という教えです。
たしかに、誰にとっても、たとえ高齢者であっても「今日は一番若い日」なのです。高齢者が「もう歳だから…」と言う方がおりますが、その方にとっても「今日は一番若い日なのです」。今日を大切に、しっかり生きたいものです。
昔から「時は金なり」という諺がありますが、貴方そして私の持っている時間という貨幣は、減ることがあっても決して増えることはありません・。
又、貴方が持っている時間を最愛の方にプレゼントすることは出来ませんし頂くことも出来ない、貴方固有のものです。その時間という貨幣をどのように使うかは貴方自身しか決められないものなのです。
二つめは、長崎県・禅心寺住職 金子真介師の言葉です。「人間のいのちは一本のローソクに火をつけたようなものである。燃えながら、照らしながら刻々刻々と減ってゆく。減ってゆくいのちを減らぬようにすることは誰にもできない。ただ、どこをどのように照らしてゆくか、これだけが人間に与えられたたったひとつの自由である」と。
実にすばらしい言葉ではないでしょうか。私は師の言葉の最後にある「人間に与えられたたったひとつの自由である」を、誠に勝手ながら「人間に与えられたたったひとつの課題である」に置き換えて読んでいるところです。
そして自分の課題に向かって
◆発 心 「さあやるぞ!」と心を奮い立たせ
◆決 心 心に決めて実行し
◆持続心 そしてそれをやり続けることが求められるのです
「東北緩和ケア研究会」で発表した「いかに生きいかに死ぬか 〜緩和ケア医療に学ぶ 生活に生かす仏教〜」を3回に分けて述べました。限られたこの 人生を「いかに生きいかに死ぬか」は私たちにとって究極のテーマですが、全ての生き物の中で人間にだけ与えられた課題なのです。「『いのち』は目に見えない→ では何か?「 『いのち』とは、自分が自分の意図で活用できる時間である」(2017年7月18日、105歳で亡くなられた日野原重明先生)。そしてどなたの言葉でしたか記憶にありませんが、「人のために尽くす人を『菩薩(行)』という。何もしない人を 『????』としている人と言う」。『????』の答えは 「ぼさっと」している人と。
以上が、人生最後の発表となった内容です。毎月のホームページ、日頃の法話と講演などでお話しをさせて頂いている内容をまとめたものとなりました。したがって以前のホームページで述べた内容とダブっているところもあります。ご理解頂きますようお願い致します。
最後に、機会を頂いた学会関係者の方々に感謝申し上げます。有り難うございました。