住職法話

住職法話 「いかに生き、いかに死ぬか」

トップページ > 住職法話 > 第67回(T.日本社会の現状 -福祉的社会学的考察-  69〜73)

67回

(平成28年10月1日)
T.日本社会の現状 -福祉的社会学的考察-

 この項の「T 日本社会の現状」から、 「 X 仏教に見る祈りと教え」まで、先月で13巡しました。今月から又、 「T 日本社会の現状」に戻って現代社会の私達の生活」を見ていきたいと思います。前回のこの項では高齢社会が生み出すペット事情と再度人口動態予測について述べましたが、今回は「人生80年」高齢社会にあってその生活を支える「老後の経済的備え」について述べます。

T-69 老後の経済的備え 〜「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」@〜

青森市・盛美園

 男性の平均寿命も80歳を越え、正に「人生80年」の「高齢社会」。国民の生活を考える場合は高齢者の生活抜きには語ることが出来ません。人は必ずや年をとり「いつか行く道」で高齢者となります。
 そこでその生活を支える「老後の経済的備え」はどうなっているのでしょうか。内閣府が平成27年に行った 標記調査(調査対象国は日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデン。調査対象者は60歳以上の男女)によりますと「50代までに行った老後の経済生活の備えについて」の問いに対して、「何もしていない」と答えた人は、アメリカ20.9%、スエーデン25.4%、ドイツ26.1%と20%代なのに対して、日本は42.7%と際立っています。
 定年を前にした50代までに「何もしていない」日本人が4割超。老後の社会保障が十分でないと言われる我が国にあって他国に比べても驚く程の数値は何を意味するのでしょうか。日本人は貯蓄率が高いとも言われていますが、取り敢えずの預貯金は出来ていても老後の生活を考えた準備までは出来ないと言うことでしょうか。だとすれば多くの国民は日々の生活で目一杯と言うことになります。

T-70 貯蓄や資産は足りないとする高齢者の割合 〜「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」A〜 

 それでは現在の貯蓄や資産について、老後の備えとして十分と考える高齢者の割合はどうなのでしょうか。「十分」と「まあ十分」の計で見ますと、スウェーデン72.7%、アメリカ68.8%、ドイツ66.3%に対して日本は最も少ない37.4%です。
 一方、貯蓄や資産が老後の備えとして足りないと考える高齢者の割合(「やや足りない」と「まったく足りない」の計)は、日本が57.0%と最も多く、アメリカ24.9%、スウェーデン18.9%、ドイツ18.0%と続きます。
 日本の高齢者は、公的年金の他に、50代までに行った老後の備えとして、主に「預貯金」や「個人年金への加入」を行っています。一方で前項のように約4割超の人が「特に何もしていない」と回答しています。また、5割超が、現在の貯蓄や資産が老後の備えとして「足りない」と回答しているのです。これに対して「若い時期から老後を見据えて準備を始めることが重要と考えられる。」と調査は述べていますが、その指摘で良いのでしょうか。前項でも述べたように万人にとって「老後はいつか行く道」として十二分に分かっていることなのです。問題は若い頃からの準備が何故出来ないのかと思うのですが。

T-71 35〜64歳「老後の備え不足」6割超 〜内閣府調査 (2014年5月17日)〜

 いわゆる現役世代に対しての老後の経済的な備えについて同じ内閣府の調査があります。この調査結果を見ると前項の「若い時期から老後を見据えて準備を始めることが重要」と分かっていても準備できない現実が浮き彫りとなります。
 35〜64歳を対象にした調査で、老後の経済的な備えが足りないと感じている人が66.9%に上り、「現役世代が公的年金や貯蓄・退職金の取り崩しだけでは老後の暮らしに不安を抱いている実情が浮き彫りになった。」と述べています(調査)。より詳しく見てみますと「かなり足りない」が50.4%、「少し足りない」が16.5%となっています。逆に「十分だ」はわずか1.6%。「最低限はある」は21.7%でした。
 一方「何歳まで働きたいか?」の問いに「65歳ぐらい」が31.4%。「65歳を超えても」50.4%で、60歳以降も働きたい理由(3つまでの複数回答)については「生活費を得たいから」が76.7%という高い数値なのです。老後の生活不安を若い世代も高齢者もかかえている現実があるのです。
 昭和20年代当初は「人生50年」でしたが、今や世界に冠たる「人生80年」の時代です。「長寿=幸せ」を経済生活面で支える施策が必要なのではないでしょうか。

T-72 老後の蓄えはいくら必要か?@ 〜2015年07月16日「NHKスペシャル 私達のこれから『老後危機あなたの備えは大丈夫?』」〜  

 標記NHK番組によると「高齢者夫婦2人で1か月の生活費は、26.9万円」が必要としています。対して収入は、「二人の年金20.7万円。1人暮らしでは、生活費は15.4万円、収入は年金の11.2万円」と計算しています。結果、「夫婦で毎月6.2万円、1人暮らしで毎月4.2万円の赤字」となり、「人生80年」ですが、標記番組では「65歳まで生きた人の平均寿命は、男性で84歳、女性で89歳」を想定し、老後の生活費は「おおよそ1700万円が不足」すると指摘しました。
 その他にも、介護、葬式の費用等を考えると「退職金も含めて3000万円が、老後の蓄えとして必要」だとしました。

T-73 老後の蓄えはいくら必要か? A 

 これまでもこの「日本の現状」で述べてきましたように。実質賃金の低下、4割と言われる非正規就労者の増加、間接税の引き上げ等が予定されています。
 加えて2015年度の医療費が41兆4627億円(概算)であったことが2016年9月13日厚労省から発表されました。この金額は前年度比3.8%増で「過去最高」を更新しました。今後もこの傾向は続くと予想されており、介護保険料と利用負担の値上げが議論されている中、先々高齢者医療自己負担の増加に繋がるのではないかとの見方があるのです。この様に見ますと、ますます可処分所得が低下することが予想され、高齢者の生活は厳しさがいっぱいと言わざるを得ないのです。

トップページ > 住職法話 > 第67回(T.日本社会の現状 -福祉的社会学的考察- 69〜73)