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第55回

(平成27年10月1日)
W.日々の生活の質をいかに高めるか

 前回この項では平均寿命と健康寿命について述べましたが、今回は、昨年(2014年)12月、ノーベル平和賞をインドのカイラシュ・サティヤルティ氏と共に僅か17歳で受賞した、パキスタン人のマララ・ユスフザイさんの「平和賞受賞演説」について述べます。

W−57 マララ・ユスフザイさんの「平和賞受賞演説」 @


カナダ側から望むナイアガラの滝

 マララさんの演説は全世界の人々に感動と勇気を与えたのではないでしょうか。私もその中の一人でした。彼女の演説は「人が何を大切に今を生きるか」という点で、学ぶべき事が多く、示唆に富んだものでした。そこで演説の内容を振り返り、その感動と勇気を思いおこし記憶にとどめ、再度確認したいと思います。

W-58 マララ・ユスフザイさんの「平和賞受賞演説」 A

 ノルウェーの首都・オスロで2014年12月10日、授賞式が行われ、その後の授賞演説でマララさんは、「年下の弟達と未だに喧嘩をしている平和賞の授賞者は、私が初めて」として17歳の自分を紹介。「今回の授賞は私だけのものではありません。教育を望みながら脅かされている子供達、変化を求めながら声を上げられないでいる子供達への賞なのです」「私はこれらの権利を守り、声を届けるためにここに来ました」「今は、彼らを哀れむ時でではありません。教育の機会を奪われた子供達を目にしなくなるよう行動を起こす時です」

W-59 マララ・ユスフザイさんの「平和賞受賞演説」 B

 「私は全ての子供達が、質の高い教育を受けられることを望み、女性への平等な権利を求め、そして世界の隅々までが平和であることを願う、熱心で頑固な人間です」と前置きし、「私には二つの選択肢がありました。一つは何も言わずに殺されることを待つこと。二つめは声を上げ、その上で殺されることです。私は声を上げようと決心したのです」

W-60 マララ・ユスフザイさんの「平和賞受賞演説」 C


 その上でマララさんは、「今は、(世界の)指導者達にいかに教育が大切か、わかって貰おうと話すときではありません。彼らは既にわかっています。彼らの子供は良い学校に通っているのです。今は彼らに行動を求める時なのです。教育を全てに優先するようお願いします」と世界の指導者に訴えました。

W-61 マララ・ユスフザイさんの「平和賞受賞演説」D


 続いて「どうして強いと言われる国々は、戦争を生み出す力がとてもあるのに、平和をもたらすにはとても非力なの?何故銃を与えるのはとても簡単なのに、本を与えるのはとても難しいの?戦車を造るのはとても簡単で、学校を建てるのがとても難しいのは何故?」とたたみかけ、「全ての子供に質の高い教育を」と訴え、そのためには「全ての人々に平等、正義、平和をもたらしましょう。政治家や世界の指導者だけでなく、私たち皆が貢献しなくてはなりません。私も、あなた達も。それが私たちの務めなのです」と。

W-62 マララ・ユスフザイさんの「平和賞受賞演説」 E


 そして最後に次の6項目が「最後に」なることを訴えました。

  • @「空っぽの教室、失われた子供の時代、無駄にされた可能性。こうしたことは、私たちで最後にしよう」
  • A「男の子も女の子も、子供時代を工場で過ごすのは終わりにしよう」
  • B「少女が児童婚を強いられるのは終わりにしよう」
  • C「罪のない子供達が戦争で命を失うのは終わりにしよう」
  • D「教室が空っぽのままなんて終わりにしよう。女の子が『教育は罪で、権利ではない』などと言われるのは終わり」にしよう
  • E「子供が学校に行けないのは終わりにしよう」と。

W-63 マララ・ユスフザイさんの演説に想う @


 現在の日本、教育は「受ける権利」であり「受けさす義務」があります。文盲という人はないに等しい状態です。しかし、世界を見渡しますと、教育を受けられない人は5千700万人に上ると言われています。その原因は、貧困、差別(宗教的なものを含め)、暴力等々多々あると思われます。マララさんの訴えに改めて目を覚まされた思いがします。世界の指導者だけではなく、一人一人にできる具体的な行動が求められました。当面の私は、祈り、布教の一環として語る(声を上げる)ことでしょうか。

W-64 マララ・ユスフザイさんの演説に想う A


 それにしても、人々の心を動かし、感動をあたえ、ノーベル平和賞の受賞に誰でも納得する17歳の少女。彼女の教育について父親は、「周りの人達から マララみたいに強くて 勇敢で雄弁で 落ちついた子供の 育て方の秘訣を聞かれます。 私の答えは 『私が何かしてあげたのではなく 、あることをしなかったお陰でしょう 。彼女の翼≠切り取らなかった』 それだけです」と。子供が学びたいという翼を切り取らなかったことが今のマララさんになったということです。実にうんちくに富む言葉ではないでしょうか。
 以上の授賞が世界中に感動を涌き起こし、まださめない中、日本の国会では「安全保障関連法案」が採決されました。「戦争法(案)」とも言われ国民の過半数が反対、大多数の国民が「審議が十分に尽くされ ていない」と考える中での強行採決でした。「憲法違反」「立憲主義の崩壊」「憲法解釈を一内閣で変更すべきではない」「70年の平和国家をないがしろに」「解釈変更ではなく憲法改正すべき」「憲法9条を守れ」等々の反対意見が叫ばれました。国会周辺では日米安全保障条約時以来と言われる若者や非組織者の人々を含めた多くの人々がデモに参加者しました。
 法案が法になったこれからが「本当の闘い」という活字も目に付きます。「どうして強いと言われる国々は、戦争を生み出す力がとてもあるのに、平和をもたらす にはとても非力なの?」のマララさんに応えるためにも世界に冠たる平和国家としての財産をこれからも持ち続けていきたいものです。

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