第42回
(平成26年9月1日)
標記会議の人口推計によりますと、2010年から2040年までの30年間に、子供を産む大多数の20〜39歳の女性人口は、
全国1800市町村の内約5割に当たる896自治体で5割以上減少すると推計。
その上でこの896自治体は、若年女性が大幅に減少することによって行政サービスの維持も困難となり、
「将来消滅する可能性がある」と指摘しています。
又、896自治体のうち、40年の人口が1万人を割る自治体(全体の29.1%)については「消滅の可能性が高い」との予測を示しました。
前項の都道府県別割合に示すように、青森、岩手、秋田、山形そして島根県は「消滅可能性都市」が8割以上、
中でも秋田県は25自治体中24が消滅する可能性として推計されました。
又、24道県で5割以上の自治体が消滅可能性があるとの予測を示しました。
前項で山形県は「消滅可能性都市」が8割以上であることを述べましたが、私の住んでいる山形県をもう少し詳しく見てみたいと思います。
県内では山形市、米沢市、寒河江市、長井市、東根市の5市と山辺町、高畠町の2町を除く80%に当たる28の市町村が「消滅する恐れのある市町村」とされました。
国の推計では、2010〜15年は地方から大都市に年間6〜8万人流出するものの、20年には落ち着くとの見方を示し、
40年に20〜39歳の女性が5割以上減少する自治体を373と予測。
これに対して「日本創世会議」の推計は、6〜8万人の流失は将来も続くと予想、
その結果40年までに20〜39歳の女性が5割以上減少する自治体は896として、国の予測の2.4倍となりました。
この間同年代の減少は、女性に限らず男性も同様であると見られています。
急激な少子高齢化の中で、大都市特に東京への一極集中の是正が必要と言われていますが、
2020年の東京五輪までは若者の地方からの流出が一層強まることが予想されています。
しかし集中する首都圏は、子育て環境の面で整備が遅れており、東京の出生率は地方より低いのが現状です。
したがって若者の流出を抑制することが人口増のためにも必要なことなのです。
地方としても様々な対策を講じているものの、より一層の施策が必要とされています。
政府の財政諮問会議傘下の「選択する未来」委員会は5月13日
「50年後(2060年)に人口1億人程度を維持する」との政府目標を中間報告として発表し、
今後合計特殊出生率を12年の1.41から2.07程度に引き上げることを目標値にしました。
2013年の日本の総人口は1億2730万人ですが、
48年には1億人を下回り、60年には3割減の8674万人と予測されています。
これを背景に中間報告は「社会・経済の抜本改革をしなければ国際的地位や国民生活の水準が低下し、社会保障給付が増加して財政破綻を招く」
として、30年に出生率を2.07に引き上げて60年人口を1億545万人程度にすることとしています。
その対策として高齢者に手厚い社会保障の予算を見直し、子育て世代に重点配分することを提言しています。
先の「日本創世会議」の発表とこの「選択する未来」委員会の提言で少し気になるところがあります。
どちらも少子高齢化と人口減少を心配し、その対応策を迫るものとなっていますが、提言の底流に働き手不足のための労働力対策としての意識が流れ、
国民一人一人の生活向上のための根本的視点が薄いように思えるのです。
確かに将来の社会保障を確保するためにも人口増加が望まれますが、国の形だけではなく、
一人一人の生活向上と人口問題がどのように結びついているかの考えが必要なのではないでしょうか。