住職法話

住職法話 「いかに生き、いかに死ぬか」

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第41回

(平成26年8月1日)
 前回のこの項では、日本の仏教に多大の影響を与えた玄奘三蔵のシルクロードについて述べましたが、今回は日本への仏教伝来と仏教歴史の概略について述べます。

X.仏教に見る祈りと教え -仏教を今に生かす「いかに生きるか」の考察-

X−38 仏教伝来と歴史  〜伝来時期・飛鳥時代〜

法隆寺・日本最古の五重塔
法隆寺・日本最古の五重塔
Photo by (c)Tomo.Yun

 仏教伝来前の日本は、古来から様々な神々が信仰されていました。その日本に仏教が伝来したのは、6世紀と言われています。
 仏教伝来の時期には諸説があるようですが、奈良・元興寺(ガンゴウジ)の縁起により仏教の正式伝来は538年というのが一般的のようです。
 しかし実際にはそれ以前から朝鮮半島からの渡来人によって仏教は日本に伝わっていたようです。
 この時期は渡来人が活躍した時代で、その人たちが伝えた仏教は日本に大きな影響を与えました。
 当時の代表的豪族に蘇我氏と物部氏がいましたが、蘇我氏はこの渡来人と交流を持ち、大陸の文化を多くとりいれようとしたり,渡来人が伝えた仏教を崇拝しました。
 物部氏は排仏を主張しました。この蘇我氏と物部氏の対立が激化し、その争いに蘇我氏が勝利したことによって仏教は容認されるようになりました。

V-39 仏教伝来と歴史  〜伝来時期・飛鳥時代〜

 その後、聖徳太子が「十七条の憲法」を作成し、その第二条で「三宝(仏、法理、僧侶)を信奉しなさい。
 それはいのちある者の最後のよりどころであり、すべての国の究極の規範である。
 仏の教えに依拠しなければ、何によってまがった心をただせるだろうか。仏教を政治の基本理念に」(概略)と述べ、生き方と政治の基本に仏教を据えました。

X−40 仏教伝来と歴史  〜奈良時代〜

東大寺
東大寺

 飛鳥時代までは豪族を中心とした仏教で、豪族による寺院も建立されましたが、奈良時代に入ると仏教は国の仏教という姿になりました。それは天皇を中心とした国の政策と一体となったということです。
僧侶は国の役員という位置付けとされる一方で、国を護るという立場から国による寺院が建立されるようになりました。
 聖武天皇は全国に国分寺を、更には東大寺に大仏を建立。
 この時代には中国・唐からの影響で「南都六宗」(法相宗、律宗、華厳宗、三論宗、成実宗、倶舎宗)が宗派としてはじめて国内に成立しました。法相宗は興福寺、薬師寺、律宗は唐招提寺、華厳宗は東大寺を建立しました。
 この奈良時代に於いて僧侶は、出家するには国の許可が必要とされましたが、許可を得ずに出家する「私度僧」も出てきた時代でした。
 その代表例として国内で初めて大僧正となった行基と後に真言密教を開いた空海も最初はこの「私度僧」でした。

X−41 仏教伝来と歴史  〜平安時代 @〜

 平安時代の仏教は「密教」が主流となりました。
 密教はインドのヒンズー教の影響を受けて成立し、現世に於いて衆生も仏になることができること、つまり即身成仏できるという教えです。
 日本の密教は天台宗と真言宗に大別されます。天台宗の開祖は最澄です。
 最澄は唐の天台で密教を学び、比叡山に延暦寺を建立して天台宗を開きました。後に比叡山では浄土教や禅などを含めた本山となりました。鎌倉時代に誕生した浄土宗(開祖・法然)や日蓮宗(開祖・日蓮)の開祖も元は比叡山で修行した僧侶でした。
 一方、真言宗の開祖は空海です。空海は唐の長安(現在の西安)にある青龍寺に於いて、密教の大家・恵果和尚に密教の極意を授かって帰国しました。
 空海は、高野山の金剛峯寺、京都の東寺を修行道場として開き、真言密教の教えを広めました。
 多くの僧侶がその教えを学びに空海を訪ねましたが、その中の一人に最澄も含まれていました。

X−42 仏教伝来と歴史  〜平安時代 A〜

金剛峯寺
金剛峯寺

 仏教が広まるにつれて、日本古来の神々信仰と仏教が結びつくようになりました。
 神社の境内に寺院を建立、又はその逆の場合も出るようになりました。
 神仏融合が進み、「神と仏は同一」として仏が姿を変えて現れたのが古来の神々であるとの思想に発展しました。この様な動きを「神仏習合」と言いますが、この状態は長く明治時代当初の神仏分離令、廃仏毀釈まで続いたのです。
 さて、平安中期以降は災害、疫病、戦乱の多発によって社会不安が高まり、末法思想が広がりました。
 その結果、現世での成仏より来世での成仏を教理とする浄土思想が強くなったのです。

X−43 仏教伝来と歴史  〜鎌倉時代〜

 武家階級が生まれる状況下、仏教界は戒律の復興と禅の実践を求める流れ(臨済宗、曹洞宗)と、新しい仏教の流れ(浄土宗、浄土真宗、日蓮宗)が出てきました。
 浄土宗は、法然が念仏による布教活動を行い、弟子の親鸞がそれを踏まえて浄土真宗を開きました。
 禅宗は、栄西が宋に渡り臨済禅を伝え、その後道元が宋に渡って曹洞禅を伝えました。鎌倉後期には日蓮宗が成立しました。
 次回はこの続きです。

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