いかに生き、いかに死ぬか

圓應寺 住職法話

住職法話 第180回

日々の生活の質をいかに高めるか
【生活の質の考察】194〜198

「婚前契約じわり浸透」

 前回のこの項では、「『ほめる』よりすごい方法」について述べました。今回は、チョット古いのですが山形新聞(2019年2月16日付)に「婚前契約じわり浸透~夫婦のルール書面化~」との記事が掲載されました。現代は契約社会とも言われますが、結婚後の様々なことに関して事前に契約した上で結婚するとの内容に、私は少なからず驚きの念を持ってしまいました。ご周知の通り私は昭和18年生まれで、この5月には83歳の高齢者です。世代間ギャップや「時代が違う」との想いを度々感じてはいますが、その一例として今回の記事を取り上げました。同紙にはその後も子育て等についての課題が掲載されましたので、2回に亘って内容を紹介し、共に考えたいと思います。今回はその前半です。

Ⅳ-194 婚前契約じわり浸透 ①

山形~福島県へ

 その記事は、「夫婦間のルールや離婚時の財産分与などを結婚前に書面で取り決める『婚前契約』が広がりを見せている。欧米では一般的な制度だが、日本では『結婚する前に分かれる時の話をするなんて縁起でもない』と敬遠されがちだった。しかし、年間20万組が離婚する中、トラブルの事前防止だけでなく、お互いの価値観を確かめて不安を解消する手段としても注目を集めている」として次のように紹介しています。

Ⅳ-195 婚前契約じわり浸透 ②

 歌手・SILVA(シルバ)さんの婚前契約書を紹介。その内容は

①外での飲食は週2回まで

②記念日は共に過ごす

③離婚した場合の慰謝料は100万円

 以上を含め、仕事、家事、育児分担、ギャンブル、浮気・借金の禁止、離婚時の親権や養育費等々、34項目を公正証書に

Ⅳ-196 婚前契約じわり浸透 ③

 一般社団法人「プリナップ協会」代表理事・行政書士である多田ゆり子氏の話として次のように紹介。

①婚前証書作成は「20~40代の女性を中心にじわじわと増えている」と。その上で、

②「女性は交際相手の浮気や借金に悩まされ、結婚に不安を抱いているケース」

③「男性は自分が築いた資産を守りたいケースが目立つ」こと

 又、「価値観が合わず、話し合いの末に結婚を考え直した人も」と。最後に氏は婚前契約作成は「結婚の現実を見つめることで、夫婦の関係をよりよいものにすることができる」とのことです。

Ⅳ-197 婚前契約じわり浸透 ④

 この項の冒頭でも述べましたが、欧米では当たり前の契約とのことですが、日本でも「じわり浸透」しているとの内容にはチョット驚きです。「結婚する前に分かれる時の話をするなんて縁起でもないと敬遠されがちだった」とのことですが、違う時代がやってきたのでしょうか。この時代の変遷、私が他の項で述べている墓地についも言えるようです。昔(私が住職になってしばらくの期間、40~30年ほど前)は、墓地を生前に購入するのは「縁起でもない!」として敬遠され、事情によって購入した場合は、墓石の「○○家之墓」の字を赤ペンキで塗ったものでした(実際に使用する時にはペンキを剥がします)。今では考えられませんが、当時はそのような対応が一般的だったのです。同じように時代が変わりこの「じわり浸透」なのでしょうか。

Ⅳ-198 「子供欲しくない」 19%

 2024年2月4日付山形新聞に「『子供ほしくない』19% 25年卒の学生大幅増、経済不安影響か」と題した記事が「マイナビ」の調査結果として掲載されました。それによると、「大学や大学院を2025年に卒業する見込みの学生のうち、5人に1人に相当する19.2%が『子供はほしくない』」と答えているというのです。驚きの数字ですが前回調査の24年卒の13.1%を大幅に増加しているのです。調査担当者「経済面への不安が人生観に影響を与えている可能性がある」との見解を載せています。

 更に調査の内容を詳しく見ますと、「ほしくないと回答したのは女子が23.5%と男子の12.1%を大きく上回っている」のです。これについて同紙は「育児休業の取得が仕事に影響する不安や、家庭での育児の分担の男女差などが要因」と述べ、「複数回答で男女に理由を尋ねたところ『うまく育てられる自信がない(57.4%)』が最多だった。次いで『自分の時間がなくなる(51.5%)』、『経済的不安(51.0%)』」とのことです。さらに同紙は「収入の不安やキャリア志向から、共働きを希望する学生は70.0%に達し、調査を始めた16年以降で最高となった。その理由(単一回答)は、『一方の収入だけでは生活できないから』が14.8%で最も高く、2位は『それぞれ自分の仕事を持っていることが自然だと思うから』の12.5%」だったことを紹介しました。

 若者の厳しい現実を突き付けられた想いです。子供を持つ持たないは、当然のことながら当事者が決めることですが、結婚件数が漸減している現状と合わせて考えますと、日本の将来を心配せざるを得ません。「異次元の少子化対策」を唱えた総理がおりましたが、現実的対応か本当に急がれるのです。