いかに生き、いかに死ぬか

圓應寺 住職法話

住職法話 第175回

日々の生活の質をいかに高めるか
【生活の質の考察】188〜193

「「ほめる」よりすごい方法」

 前回のこの項では、【「ほめて育てる、伸ばす」そして「仲の良い夫婦」の極意について】述べたのですが、それを越える【「ほめる」よりすごい方法】を目耳にしたのです。今回はその驚きの内容を紹介し、考えたいと思います。

Ⅳ-188 「テレビ寺子屋」の放送

 その驚きは2025年3月9日、地元山形のさくらんぼテレビで放映されたました。番組は「テレビ寺子屋」(テレビ静岡制作)と題して、東京学芸大学付属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生による講演でした。

 先生は「子どものやる気を引き出す【ほめる】よりすごい方法39」(高橋書店)という本も出版しているとのことですが、テレビで放映された衝撃的な内容を私なりの感覚でお伝えします。

Ⅳ-189 「子どもが伸びるほめるよりすごい方法」①

 先生は冒頭で「ほめるのはいいことだけど、もっといい方法があって、親がらくだったらそっちの方がいいでしょう」と語りかけます。その上で、「子どもが伸びるほめるよりすごい方法」と題して次の4項目を柱にして語りかけます。

Ⅰ 先生「(みなさん)ほめ疲れしてませんか?」、「とにかく何でもかんでもほめる。転んでも失敗しても褒める。良い所探してなんとか褒めよう!無理矢理一生懸命褒めて」

 ① どんなときも子どもはほめて育てる

 ② 自己肯定感を高める

    (例えば)子どもが一生懸命練習したけど3位だったのに対して、
    (母親が)「ママの中では金メダル」の褒め言葉。
    しかし三位は銅メダル。疑問持ちながら褒めた言葉に本当の言霊がのるか?
    気持ちがのるか。のらないのではないか)
 ③ 失敗しても良いところを見つける
    失敗したときに良いことあるのか?良くなかったから失敗したのでは。
    ほめた言葉に言霊がのるか?のらないのではないか。
     「ダメなものはダメじゃないの?」のらない言葉を言うから
    子どもはあまり効果を発揮しない。対して親は「せっかく褒めたのに」と。

Ⅳ-190 「子どもが伸びるほめるよりすごい方法」②

Ⅱ 「承認(人に認めて貰う)」に至る五つの段階

 ① 見る  「お母さん見てみて!」→応えて見るだけでOK

 ② 気づく 「見て」と言われる前に気づいている)

 ③ 認める 漢字テストで70点、「平均点は?」などと聴かない、
       「70点だったんだ!」と認めることチャンと聴いてくれたと受け止めてくれる)

 ④ ほめる

 ⑤喜ぶ   (親が喜ぶ)漢字テストで満点取ってきたときに、
       親が「すごいじゃない!」というより、
       親が「やった!」と親が喜ぶのが一番。
       喜んだお母さんは、子どもをもっと喜ばしたくなる。
       「ほめられ方を伸ばす」こと。
       例えばやたらとプレゼントもらえる人。
       これはもらい方が上手な人。貰ったときに嬉しい顔をする。
       すると又上げたくなる。
       主人が花束抱えて帰ってきたとき 「どうしたの急に?なんかやったナ」、
       これでは買ってこなくなる。
       「ああ嬉しい!」との顔をすれば又買ってくる。
       貰ったらニコニコする、おいしいときはおいしい顔をすることが大事。
       日本人はほめられたときに喜んではいけない感じを持っている人が結構いる。
       「息子さん足が速いですね~」と言われて「いやいや漢字が出来なくて」
       →ほめられたら「有り難う」でよいのでは。

Ⅳ-191 「子どもが伸びるほめるよりすごい方法」③

Ⅲ 「覚悟をきめて全部やらせる」

 子どもに皿洗いをさせたが床がびしょびしょに。終わって子どもは多くのキッチンペーパーで拭き取り。翌日の皿洗いはキッチンペーパーをしいて洗ったが床がぬれなかった。自分で床を拭いたことで洗い方を工夫し学習した。このように最後までやらせることが大事。

 失敗したら親も一緒に悔しがる。受験に失敗したら親も。その上で「又頑張ろうネ」と。

Ⅳ-192 「子どもが伸びるほめるよりすごい方法」④

Ⅳ 「ゴールやペナルティを勝手に変えない」

①「宿題やったらテレビ見ていいヨ」と言ったが、子どもが早くやって終わるとその上に又課題(例えば他の勉強)を出す。ゴールを勝手に伸ばさないこと。子どもは早くおわすともう一個仕事が回ってくると感じてゆっくりやった方が得と考えてしまう。

②【「○○しないと○○しない」はNG】

 「ご飯食べないとアイスクリーム無し」「宿題やらないと遊びに行かないからネ」これを「ポジティブワードで注意する」→「ご飯食べてアイス食べよう!」と。

 「まずは、あなたが楽しそうに」「変わるのは子どもじゃない子どもを変えようと必死にしているが、子どもは子どもで勝手に変わります。変わるのはあなた自身」「お父さんお母さんが変われば必ずうまくいくし、ニコニコしている親は最高です」と。親の満足度を求めず親は楽しくです。

Ⅳ-193 沼田晶弘先生の講演の骨子

 ほめて育てることを先生は否定しているわけではありませんが、それよりも親は喜ぶこと、そしてその感情を表に出すことが必要であり、その上で子どもには失敗しても覚悟を決めて最後までやらせること。さらにはゴールやペナルティを勝手に変えないことが大切とのことです。なる程なる程・・・かつて子育てをしてきた自分達を省みて、一緒にテレビを見ていた妻共々「なるほどなるほど」と。
 子どもに言霊として響き届くには上辺だけのような褒め言葉ではダメなのです。寄り添った感情を共有できるような親の対応が必要ということでしょうか。先ずは自分が変わることから!