
圓應寺 住職法話
住職法話 第170回
日々の生活の質をいかに高めるか
【生活の質の考察】181〜187
「「ほめて育てる、伸ばす」そして「仲の良い夫婦」の極意について」
前回のこの項では、NKKラジオ深夜便で放送された高齢者の生き方について示唆に飛んだ三人の内容の第3回目(最終)として、2022年7月に放送された生命誌研究者・中村桂子先生の「人は自然の一部『老い』もいとおしい」について紹介し、考えました。今回は「ほめて育てる、伸ばす」そして「仲の良い夫婦」の極意について考えます。
Ⅳ-181 ほめて育てる

「ほめて育てる」ことで改めて思い出すのは、2019年4月24日に亡くなった小出義雄さんです。ご存知の通り小出さんは、女子マラソンで200年シドニー五輪金メダリストの「Qちゃん」こと高橋尚子さんらを育てた名指導者です。小出さんの指導はほめてほめて選手をその気にさせて育てることで、Qちゃんをはじめ多くの世界的ランナーを育てました。正に「名伯楽」としての指導者でした。このような導き方を念頭に今回は「ほめて育てる、伸ばす」そして「仲の良い夫婦」の極意について考えます。
Ⅳ-182 ほめて伸ばすは本当だった!

人を「育てる」、「伸ばす」。家庭で、学校で子供を育て伸ばす。職場などで新人を育て伸ばす。スポーツでその技術や力を育て伸ばす。等々いろいろな場面で、怒ることなくほめて育てる必要をよく耳にしますし、それが良いことだとはそれなりに分かっているつもりですが、現実の場面になるとなかなか出来ることではありません。
このような課題に対してかなり前の発表になりますが、ほめて伸ばすことの有効性を証明した研究が発表されました。名古屋工業大学・田中準教授等のチーム(12.11.7発表)が「他人から褒められると、運動技能が高まる」ことを研究発表したのです。その研究は、男女48人に、キーボードの練習後、①「自分の技能が褒められたグループ」、②「他人の技能が褒められるのを見たグループ」、③「自分の技能の成績グラフだけを見せられたグループ」に分け、翌日にテストを行ったところ、自分が褒められたグループの成績は20.0%伸びたのに対して。他人が褒められたグループの伸びは14.4%に止まったというのです。
この結果について研究者は「褒められることは、脳にとっては金銭的報酬にも匹敵する社会的報酬だ。褒めて伸ばす”ことの科学的な妥当性を示すもの」と話しています。やはりほめることは人の気持ちを鼓舞するだけでなく、自信を持たせ積極性を生み出すものなのでしょうか。私も重々気をつけたいものです。
Ⅳ-183 夫は「ほめて育てる」が基本 ① ~「みんなの家庭の医学」~

2013年夏「みんなの家庭の医学」に「(夫は)褒めて育てる」のが基本、という興味ある(?)記事が掲載されました。それによると、夫に何かして貰いたいとき。例えば食事の後片付けをして欲しいとき。「食事の後片付けぐらいしてよ」という、命令口調はダメ!。「片付けてくれると嬉しい」という希望を伝える言い方が大切と(なるほどなるほど・・・)。
Ⅳ-184 夫は「ほめて育てる」が基本 ② ~「みんなの家庭の医学」~

そして、夫がやる気になったら、丁寧に教えることを心がけることが大切と。夫から「洗剤は何処」「この皿何処にしまうの」等との質問に対して、面倒がらずに教えてあげること。そして夫のやり方が気に入らなくとも、「洗ってくれて有り難う」と感謝の意をキチンと伝えることが大切ということです(なるほどなるほど・・・)。その上で、夫が家事になれてきたら「こうしてくれるともっと嬉しい」とほめて育てる!
Ⅳ-185 仲の良い夫婦意識調査 ① ~ライオン株式会社~

大分前になりますが、2012年11月15日、日本の大手生活用品メーカー、ライオン株式会社が発表した「仲の良い夫婦意識調査」によると。仲のいい夫婦ほど「相手の言動に気を付けている!」とのことです。その上で、「8割以上の夫婦が、いい夫婦でいるために『我慢・忍耐』が必要と感じている」ということなのです。
そして「自分たちはいい夫婦と思うか?」の問いに、86.6%が「いい夫婦である」と回答しており、「いい夫婦で居るためには?」に、85.0%が、「我慢や忍耐が必要」、74.2%は、「相手に言いたいことを我慢している」と・・・(なるほどなるほど・・・)。
Ⅳ-186 仲の良い夫婦意識調査 ② ~ライオン株式会社~

言いたいことを我慢している割合は、女性67.2%に対して男性81.2%といういわば「“男高女低”」なのだそうです。さらに相手にこれだけは言わないように我慢している一言は、男性「もっとちゃんと掃除してよ(22.7%)」、に対して女性は「もっと稼いでよ(34.5%)」が最も多い結果となったとのことです。つまり夫は妻の家事に対して、妻は夫の収入面に対して「言わないように」我慢していることに・・・(なるほどなるほど・・・)
Ⅳ-187 プチ喧嘩こそコミュニケーション ~「みんなの家庭の医学」~

先に引用した「みんなの家庭の医学」を再度取り上げます。その記事に「プチ喧嘩こそコミュニケーション」と題して「言いたいことも言わない我慢はいずれ不調」になるとして、ある程度の主張はむしろ必要ではないかとしています。ただし、その際の注意として「この前もそうだった」と何日も前のことを言われても不愉快になるだけ。さらに「○○さんの旦那さんはこうだ」、「テレビではこう言っている」などとの主張は「相手のプライドを傷つける」ことになるだけだとしています。
さぁて皆さん、皆さんのご家庭は如何でしょうか?、私のところ?・・・・・。これらの提言、よくよくかみしめているところです。ご指摘がピッタリのところも・・・・。