いかに生き、いかに死ぬか

圓應寺 住職法話

住職法話 第120回

日々の生活の質をいかに高めるか
【生活の質の考察】131-134

「妻の自動車運転免許更新と妻の踏ん張り 2」

 前回のこの項では、妻の自動車運転免許更新と妻の踏ん張りと題して、うっかり、迷走、頑張り、踏ん張りのどたばた劇について述べました。今回はその結末についてです。

Ⅳ-131 ついに合格!

 三日連続の受験失敗となった翌日、意を決した木曜日となりました。いつものように11時過ぎの電話待ち、さすがに私も緊張です。そこに電話「受かった!(合格した)、94点!」と、はち切れた喜びの声。合格者には昼を挟んで諸々の説明があり、その後免許証が交付されるため午後になって妻が帰ってきました。電話では喜び一杯の声も帰宅した顔はホットした表情そのものでした。私は「良かった良かった!よく頑張った!この歳で……。本当に3月中に合格すればいいと思っていた。努力・粘り・踏ん張り・頑張りには頭が下がった!俺だったらもういやになって投げ出したかも知れない」と。これに対して妻は「3月までは続かない。精神的にも体力的にもこの4日間が精一杯。これ以上続いたらどうなるか。今日合格して本当に良かった!」と。
 私の腹の中では、努力にもかかわらず合格にたどり着くのは至難の業とも思っていました。そのことも考え、自転車店やホームセンターに顔を出し、値踏みや三輪タイプのものまで検討していたのです。私の予想を超えた好結果、改めて妻の努力・粘り・踏ん張り・頑張りに心からの敬意を払いました。ご苦労様!そしておめでとう!

Ⅳ-132 より安全運転に

 このようにして、予想以上に早く(妻に失礼かな?)免許を取得できたのでした。その後妻の運転する車に乗る機会が何回もあるのですが、以前に比べ安全運転意識が随分向上していることに気付いたのです。例えば十字路での一旦停止の場合、左右の車が見える位置まで進んで停止するのではなく、その前の停止線で停止した上で、車が見える位置まで進んで再度停止して確認するのです。聴けば「これが安全運転!」と。
 うっかりの失念で、大変な苦労をした妻でしたが、後期高齢者の妻にとって安全運転の再教育機会となったのかも知れません。加えて、この一ヶ月間の妻の集中力には驚きと共に大き感動を受けたものです。見直した! よくやった!  感動した!

Ⅳ-133 私自身の免許更新について

 思えば妻の免許更新手続きの失念を気付かせてくれたのは、私に来た「高齢者講習会等のご案内」のハガキが県公安委員会から届いたことでした。もし私にこの連絡が無かった場合、妻は無免許のままで運転し続けたかと思うと、このハガキのありがたさが身に染みます。
 さて、私自身も妻同様の講習を受けました。幸いにも認知症の疑いも無く、実技では「たいしたもんだ!」と褒められてしまいました。いくつになっても褒められるのはうれしいもんですネ。こうして無事講習等が終了し、更新手続きを忘れないためにも、即免許センターに出かけようとしたところ、「新型コロナ感染予防のためしばらくの間更新手続きは休止」と。これには参りました。下手をすると妻同様の恐れが出てきます。目に触れる数カ所に「免許更新手続き!」の文字を入れ、「忘れないように、忘れないように」と念じた次第です。
 その後、5月中に手続きが再開され無事更新できたときは、今までの更新時にはないホットしたものを抱いたのでした。

Ⅳ-134 健康だからこそ

 このようにして妻は、無事に運転免許証を再取得したのですが、それもこれも本人が「健康寿命」の中に生きていたからこそだと思うのです。それなりの歳ですから体中のあちこちに痛みや具合悪さを抱えながら、通院と内服薬でうまく付き合っている生活。「無病息災」とはいかず、一病……イヤ、二~三病息災が現実ですが、今のところ大病や認知症になることもなく、それなりに元気しているのです。