いかに生き、いかに死ぬか

圓應寺 住職法話

その他 住職略歴・臨時法話など

「臨時法話 得度式」

総本山智積院金堂

1.得度式とは

 一般の方は得度式とはどういうことなのか余りご存じないのではないでしょうか。
 そこで宗務庁のホームページの説明を引用させて頂き、その説明とさせていただきます。
 以下、そのホームページの内容です。

 僧侶になるための最初の儀式を「得度式(とくどしき)」といいます。  「度」というのは「渡る」という意味です。ですから「得度=渡るを得る」とは、仏の教えに出会って彼岸(悟りの世界)に渡るという意味になります。そこで、悟りを求めて仏道の修行に入ることを「得度」といい、その儀式を「得度式」といいます。  得度式では、まず始めに、出家して僧侶となる決意を問われます。次に、修行とはどういうことかを教わり、一旦道場を出て、社会や父母に別れの挨拶をし、出家の覚悟(決意)をいたします。  道場の中に戻ると、髪の毛を剃る「剃髪(ていはつ)」の儀式が行われ、仏弟子としての名前(法名)と袈裟を授かります。そして、戒律を授かることで、修行者としての生活のあり方を教わります。こうして、いよいよ修行が始まるのです。檀信徒・一般の皆さまには、非公開となっております。

当山・圓應寺本堂

2.当山・圓應寺本堂に於いて執り行いました。

 前項の説明で「得度」の意味が大凡おわかり頂けたと思います。近年の得度式は本山で行う例が多くなっていると思いますが、私の孫の場合は、自坊の圓應寺で執り行いました。 それは檀信徒の皆様に孫の得度を公開、私の次の次の住職候補を紹介、祝って頂くことも必要なことではないかと考えたのです。

いよいよ開式 受者 親族 檀信徒など入堂着座 戒師の入堂を待ちます

3.「得度式」 配役

 この日は山形市では珍しく、開式30分ほど前までの一時間降雨量が51㍉というすさまじい豪雨に見舞われました。この時間帯に来寺した檀信徒の方は、 傘も役に立たず駐車場からでもびしょ濡れ状態でした。「これでは余り人は集まらないのでは・・・」と思っていたのですが、開式30分ほど前に雨が止んだのです。 運にも恵まれ、約80人の参列となりました。写真のように受者の後ろと戒壇(戒律を受けるための場所、法具を置いた壇)を挟んだ反対側にも多くの方が参列しておられます。

 式の配役は宗派で定めた「得度式出家受戒作法」にのっとり、以下の法類(寺としての親戚関係)の諸大徳にお願い致しました。

受 者埀石友那
戒 師常明寺 住職  茅原 浄盛 師
教授・会奉行地蔵寺 住職  佐藤 快雄 師
教授補佐常明寺副住職 茅原 英盛 師
唄師・証明阿闍梨平塩寺 住職  渡辺 良仁 師
師 僧圓應寺 住職  埀石 啓芳
戒師・茅原浄盛常明寺住職

4.戒師入堂・次第(概略)

 教授・会奉行の先導で戒師・茅原浄盛師が入堂し、着座されました。
 以下は当日の次第(概略)です。

入堂着座  受者 親族 檀信徒
戒師入堂着座
開式の辞
洒浄
三礼 如来唄
表白文
受者唱礼
戒師報告
受者礼・合掌
洒水
唄師「出家唄」
受者 法衣を着る
受者剃髪
袈裟・念珠・法名授与
受者 師僧と参列者に礼
法楽 般若心経
閉式の辞
出堂

開式の辞 地蔵寺住職 佐藤快雄 師「ただいまより・・・」

5.開式の辞

 教授・会奉行の任をお願いした地蔵寺住職佐藤快雄師が「ただ今より常明寺住職茅原浄盛師、戒師の下。受者・埀石友那の得度式を執り行います」と高らかに宣言。

6.早くも名僧・・・? 迷僧?の様相でした。

 この間、戒師による得度作法、三礼・如来唄の読経に続き、得度式の意義を表す「表白文」が表明されました。

7.戒師教告

「得度」の意味を戒師から告知されました。一般の人々と出家した人との違いを教える内容です・・・が、小学年生には?

8.父母に三礼

 先ず戒師に一礼の後、教授と教授補佐・常明寺副住職茅原英盛師に導かれ、氏神、皇居に三礼し、最後に自身の両親に三礼します。

9.戒師洒水

 戒師は受者の頭頂に三度の洒水。受者は教授と教授補佐に導かれ別室の剃髪所へ。 この間、唄師・平塩寺住職渡辺良仁師による「出家唄」が引かれました(出家唄シュッケバイ、の読経は「唱える」ではなく「引く」と言います)。

10.法衣を着る

 受者はここで初めて法衣(黒)を着ることになります。初めての法衣姿で戒師の前に着座し、焼香して戒師に三礼します。その後戒師は頂髪を剃ることを受者に問います。
 受者は(剃って下さいの意を込めて)「ハイ」と答えました。それを受けて戒師はカミソリを香に薫じた後、残った周羅髪(耳側のビンに残った髪)を剃り落とします。

11.袈裟を授与

 戒師から袈裟をいただき、教授補佐に着けさせてもらいます。

12. 念珠授与

 戒師は念珠を香に薫じ受者に渡します。教授が受者の左腕に一匝にして掛けてやります。

13.法名の授与

 戒師は壇上の包み紙の「法名」を執り教授に渡します。教授は包み紙を開いて会場の隅々まで聞こえるように「法名 友那!」と読み上げ、僧名が「友那」であることを発表します。教授は法名を元のように包み直し、受者の襟元に差し入れます。
 尚、孫・友那の場合は俗名をそのまま法名(僧名)としました。

14.法名

 写真が戒師の直筆による実際の「法名」文書です。

15.本尊三礼

 つぎに戒師による種々の教えが有り、十善の戒相が説かれます。「能く保つや否や」と説かれ、受者は「能く保つ」と答えます。これ等の説戒の後、受者は教授と教授補佐に導かれ、戒壇を三周し、仏前に三礼します。

16.師僧に三礼

 戒師の発願文の後、受者は教授と教授補佐に導かれ、師僧に三礼します。引き続き、職衆、参列者に三礼します。

17.法楽

 戒師行法(神分)、廻向の後、戒師が所定の位置から下礼盤します。これを受けて、全員本尊様に向き直り、教授の経頭(先導)によって般若心経一巻を中心とした法楽を行いました。
 ここまで来ると孫もやや疲れた様子で・・・・・・。

18.孫と私の挨拶

 閉式の辞を受け、職衆が退堂の後、孫と私が参列して頂いた檀信徒の皆さんにお礼を述べました。孫も大きい声で「有り難うございました!」。式典を経て一段と成長した孫を見た感じでした。  檀信徒の方々の中には、目に涙の様相で感激している人も多数で、「良かった良かった!」「めんごかった(可愛かった)!」「おめでとう!」の連発となりました。

19.一つ成長した友那

 終わっての一枚です。どうです?立派になったでしょう!

20.記念写真

 最後に本堂前で職衆、親戚、総代・世話人の皆さんと撮った一生の記念写真です。多くの檀信徒の方々を始め職衆、総代・世話人の方々有り難うございました!