いかに生き、いかに死ぬか

圓應寺 住職法話

住職法話 第50回

日々の生活の質をいかに高めるか
【生活の質の考察】50~54

「平均寿命と健康寿命」

 先回この項では、自死に取り組む仏教界の活動を通して、聴くことの大切さについて述べました。今回は「生活の質」を考える上で欠かすことの出来ない平均寿命と健康寿命について述べます。

Ⅳ-50 平均寿命と健康寿命 ①

カナディアンロッキー

 「人生80年」と言われる今日ですが、2013年の調査によって男性も80歳の大台(正確には80.21歳)に乗ったことが厚労省の発表で明らかになりました。 これまでは女性に助けられる形でしたが、名実ともに「人生80年」となりました。誠に喜ばしいことです。
 ところでこの「平均寿命」の数字はその時期まで、つまりその人生の終焉まで元気でいられると言うことではありません。 「ころり観音」参りに人気が集まると言われていますが、テレビドラマなどで見るような最期の言葉を残して「コロッと逝く」例はむしろ例外と言えるでしょう。 寿命が延びることは大切なことですが、同時に健康で生活できる期間が延びることも大切です。 そうです、寝たきりのような状態で寿命が延びる事ではなく、自身のことは自身で出来る健康状態で長く生活できることがより大切なことではないでしょうか。

Ⅳ-51 平均寿命と健康寿命 ②

 厚労省によりますと、平均寿命と日常生活に制限がある健康寿命の差は、2013年(平成25)で男性9.02年、女性は12.4年となっています。 つまり男性は人生の終焉まで約9年間、女性は12年間、日常生活に制限がある生活をしていることになります。男女合わせて約10年「健康ではない」期間を過ごすことになるわけです。

Ⅳ-52 平均寿命と健康寿命 ③

 さらに、厚労省は健康寿命の推移を平成13年と22年を比較しています。
 男性は69.04歳から70.42歳と1.02歳。女性は72.65歳から73.62歳と0.97歳延びています。 この間の平均寿命は、男性78.07歳から79.55歳に1.48歳延び、女性は84.93歳から86.3歳に1.37歳延びたことを発表しています。
 平均寿命と健康寿命の推移を見ますと、将来にわたって両方とも延びることが予想されていますが、 平均寿命の延びに比べ健康寿命の延びは小さく、生活に制限のある期間(不健康な期間)の拡大が予想されています。

Ⅳ-53 平均寿命と健康寿命 ④

 平均寿命と健康寿命の差が拡大することは、医療費や介護費用の高騰する問題もありますが、家族間の介護と生活に大きな問題となることが予想されるのではないでしょうか。 したがって、健康寿命をいかに延ばすかがご本人はもとより家族間にあっても大きな課題となります。

Ⅳ-54 健康寿命をいかに伸ばすか

 私たちが健康寿命を伸ばすために日常的に出来ることとして、最近よく言われている「テクテク カミカミ ニコニコ ドキドキ」があります。

①テクテク
テクテク歩きましょう。一日30分、息が弾む程度で、歩幅をやや大きく、両腕を肘から少し曲げて大きく振って。先ず第一は、生活習慣の中に「歩き」を取り組もうというものです。

②カミカミ
良くかんで食事しましょう。特に世界遺産となって評価も高い和食をバランスよく食べましょう。

③ニコニコ
「笑いは健康の基」と言われます。精神的ゆとりとストレス解消だけでなく免疫力の向上にも効果があると言われています。

④ドキドキ
歳を重ねますと感受性が鈍ると言われています。いつまでも心を若くしてくれる最も人間らしいのは感動できることなのです。

先月述べましたように幸いにして私は、毎朝ウオーキングに励んでいるのですがその効果は‥‥?皆さんは如何でしょうか?