いかに生き、いかに死ぬか

圓應寺 住職法話

住職法話 第26回

仏教に見る祈りと教え
【仏教を今に生かす「いかに生きるか」の考察】

21~25

「伝統を受け継ぐインドの風習」

 前回のこの項では、お釈迦様の入滅を中心に述べましたが、今回は仏教の伝統を受け継ぐ インドの風習などについて述べます。

Ⅴ-21. 聖なる大河・ガンジス川

ガンジス川の夜明け

 ガンジス川は、ヒマラヤを源としてインド北部を流れる2500キロに及ぶ大河です。
 ヒンズー教徒・仏教徒にとってガンジス川は「聖なる大河」であるとされています。死者をその川岸で火葬にした後、その灰をこの川に流すことは、人々にとって大きな望みであり、死者に対しての最大の供養でもあると考えられています。2005(平成17)年に私が訪ねた際も川岸で薪を重ね、その上に遺体を載せて火葬している光景を目の当たりにしました。一目でそれと分かる遺体を一人の男性が、火の番をしていました。火の勢いは余り強くなく、丸一日を要して火葬し、ガンジス川に流すとのことでした。

Ⅴ-22. ガンジス川での沐浴 ①

沐浴中の信者

 多くの信者が、聖なるガンジス川で「沐浴」をするためにこの川を訪れます。事実、私が訪ねた際も、川岸で火葬が行われ、牛の糞の匂いと相まって独特の臭気が漂っている中、写真のように沐浴中の多くの人々がおりました。人びとにとってその水質は関係なく、ガンジス川はあくまでも「聖なる川」なのです。

Ⅴ-23. ガンジス川での沐浴 ②

次々と沐浴に訪れる人々

 写真のように日が昇るにしたがって、次々と信者が訪れます。
広大なインド各地から全ての信者がこのガンジス川に来ることは、経済的理由等々から困難と言われています。幸いに来ることが出来た信者は、「聖なる川」の水を故郷に持ち帰ってお土産にするとのことで、ペットボトルに詰めている多くの人々を目にしました。

Ⅴ-24. ガンジス川のおみやげ屋さん

ガンジス川のおみやげ屋さん

  多くの沐浴者と観光客相手に、ボートに仏具を中心に並べたお土産屋さんが現れます。その数も一艘二艘ではありません。ゆったりとした流れの中、多くの土産船が入り乱れるように活躍していました。

Ⅴ-25. ガンジス川と住民の生活

 沐浴の川、聖水としてのガンジス川ですが、その近くでは川岸で洗濯板を使って作業に励む人々を目にしました。私が乗ったボートから身を乗り出して川をのぞくと、その色は茶褐色でよく見ると細かい異物、手に取ると日本の川には見られない多くの異物がありました。お世辞にも「きれいな川水」とは言えません。しかしこのガンジス川は代々の「聖水」であり、「聖なる川」なのです。

 次回のこの項は、玄奘三蔵のシルクロードについて述べたいと思います。