圓應寺 住職法話
住職法話 第16回
仏教に見る祈りと教え
【仏教を今に生かす「いかに生きるか」の考察】
11~15
「お釈迦様」
前回のこの項では、「仏教の歴史」の概略を仏陀の誕生に焦点を置いて紹介しましたが、今回はその続きを紹介します。
Ⅴー11.マハーボディ寺院
ブッダ・ガヤにあるマハーボディ寺院は、この項の前回に示した悟りを開いた菩提樹に隣接しています。悟りを開いた仏陀は、大安心(アンジン)の涅槃(ネハン)の境地に入りました。
ところでこの「涅槃」とはどういう事でしょうか。吉田宏晢「生活のなかの仏教」(真言宗智山派宗務庁「智山文庫」第15集)の説明を紹介します。
「涅槃は大安心と言います。涅槃というのは死んでから行くところではないんです。‥中略‥‥ 人生というものは火の海や荒れ狂う洪水の中を渡っていくようなものである。しかしそういう恐ろしい世界から火が消えた静寂の世界に至ったのが、菩提涅槃です。これを人生においてわれわれが自ら獲得していく、釈尊が教えを説かれ始めたそもそものきっかけはそこにあった。」と。
Ⅴー12.マハーボディ寺院内部
マハーボディ寺院大塔の内部には金箔の仏像が安置されていました。
Ⅴー13.サルナート遺跡公園と仏塔
お釈迦様は悟りを開いたものの、その内容の難しさもあって人々に広めることをためらっていたところ、インド神話の創造神「梵天」の助言により、説法を始めることになったと言われています。
お釈迦様は、5人の修行僧に初めて説法(「初転法輪」と言われています)した場所が、ここサルナートです。サルナート遺跡公園にどっしりとした存在感を見せているのが「ダメーク・ストゥーバ」です。この仏塔の中にはお釈迦さまのお骨が安置されているそうです。
Ⅴー14.人々に生き方を説いたからこそ!
遺跡公園の中、お釈迦さまが実際に説法された場所の遺跡です。正にここで5人に初の説法がありました。当初は難行苦行の修行から離脱したお釈迦様を軽蔑していた5人は、その説法に納得し、初の仏教教団が誕生しました。
Ⅴー15.広大なインド大地
お釈迦様は以後、インドの大河・ガンジス川中流域を中心に説法を続けましたが、40歳の時、父の死亡を受けて10年ぶりに生まれ故郷に帰りました。その時の説法に妻や子供が感激してお釈迦様の弟子になったと言われています。その後も当時としては超高齢の80歳で入滅されるまで45年間に亘って布教活動を続けられました。
次回以降、この項では、お釈迦様の入滅等について述べたいと思います。