いかに生き、いかに死ぬか

圓應寺 住職法話

住職法話 第15回

日々の生活の質をいかに高めるか
【生活の質の考察】10~14

「名のある人々の発言 1」

 これまでのこの項では、感謝、感激、感動等について述べました。雑誌「致知」で藤尾秀昭氏は「・感動は人を変え ・笑いは人を潤し・夢は人を豊にする。そして感動し、笑い、夢を抱くことが出来るのは人間だけである。」と述べています。正にその通りとおもいます。
 今回は、「名のある人々」の発言を紹介します。その道で一流を極めた方々ですので、その内容には大きく心に響くものがあり、私達が生きていく上で大いに参考になる教えが沢山詰まっています。

Ⅳ-10.佐藤富雄氏の言葉

朝靄の紅梅と金堂(総本山智積院)

 医学・農学博士で作家でもある佐藤氏は、
「(自分の)30年以上のウオーキングを見て、人は『意志の硬い人』 『努力型の人』と言うが、何のことはないただそれを習慣化しただけ」「仕事も学習も一度しっかりと習慣化してしまえ ば、もはやそれは努力ではなくなる。生活の一部になってしまう」「良い習慣を身につけるためには、最初の一歩を踏み出す決断」
 と言っています。

 私事で大変恐縮ですが、私は毎朝6.1㎞を52分前後でウオーキングしています。冬期は60分を越えることもありますが、調子の良いときは50分を切ります。しっかりと両手を振り歩幅を大きくしての速歩で、真冬であっても汗だくの状態で帰宅します。
 歩き始めたのは定年退職後、2年経ってからです。ある時自分の脚、特に膝上の大腿四頭筋を見てビックリ仰天してしまいました。驚くほど細くなっているのに気付いたのです。脚を使わない状態が続くと、最初に大腿四頭筋に影響が出ると言われています。病院勤務中は、一日1万歩が平均の歩数でした。ところが、退職後は忙しいことには変わりないのですが、忙しいのは口先と手先だけで、脚の方はほとんど使わない日々が続いていたのです。
 これは大変!ということで一大決心、「よし!歩こう!」と。はじめの3日間、一週間は苦痛の連続でした。しかしここが頑張りどころと意を決し何とか一ヶ月。不思議なものです。一ヶ月を過ぎるとあまり苦痛を感じなくなり、雨が降ろうが、風が吹こうが気になりません。冬期間は日の出が遅いため、暗い中雪を踏みしめてのウオーキングとなります。こうして6年が経過しました。現在では、完全に生活の一部でありリズムとなっています。

Ⅳ-11.ヘレンケラーの言葉

 盲聾唖の三重障がいを持つも、社会活動に生きたヘレンケラーの言葉です。
「不幸のどん底にあっても、この世には自分に出来ることがあると信じましょう。 誰かの苦しみを和らげてあげられるかぎり、人生は無駄とはなりません。人生で最も胸が高鳴るのは、他人のために生きる時です」。
 ヘレンケラーは勿論キリスト教徒ですが、自分のためだけに生きるのではなく、人のためにも生きるというこの考え方と精神は仏教でいう「布施行」にも共通することです。尚、「布施行」については、「Ⅴ 仏教に見る祈りと教え」の項で時期を見て述べることにします。

Ⅳ-12.エッセイストの青木匡光(マサミツ)氏の言葉

 青木氏は、豊かな人生を送るために、人間関係の大切さを訴えて、
「人間の幸せは人とのふれあい。心豊かに過ごす時間のトータル。そのために ①足まめ ②筆まめ  ③電話まめ ④世話まめ ⑤出まめの五まめを身につけよう。すばらしい人に出会い、心の花を咲かせて生きよう。植物の花は何時か枯れるが心の花は枯れることはありません。」
 と述べています。日々多忙な生活の中ですが、人々との人間関係に受け身だけではなく、自ら積極的に取り組む姿勢が求められます。

鉄道博物館・大宮

Ⅳ-13.元女子マラソンランナー高橋尚子さんの言葉

 2000年シドニーオリンピック金メダリスト、国民栄誉賞受賞の高橋さん。その後も当時の世界記録を塗り替える等の活躍をしましたが、骨折などによる故障が続き、レースに出場出来ない状態になりました。しかし、05年の東京国際女子マラソンで、見事復活優勝を成し遂げました。当時33歳時の優勝インタビューに応えた言葉を紹介します。

「一度は陸上を止めようと思った時もありましたが、皆さんに支えられて、暗闇の中でも夢を持つことで、一日一日を充実した時間として過ごすことが出来ました。今、暗闇にいる人や悩んでいる人も、一日だけの目標でも、なんでも夢を持つことで、すごく一日が充実すると思います。小学校、中学校の子ももちろん、30代、そして中高年の皆さん方も、24時間という時間は平等に与えられたチャンスの時間です。もう二度と来ないこの時間を精一杯そして充実した一日にしてください。」
 自分一人の努力だけではなく、人々に支えられ夢と目標を持つことの大切さを語りました。33歳の若さでです。

Ⅳ-14.聖路加国際病院理事長・名誉院長、2005年文化勲章を受章された日野原重明先生の言葉です。

 2011年10月、100歳を迎えられた先生は、これまでも数々の言葉・教えを述べておられますが、前項の高橋さんの「目標」についても述べておられます。
「思えば、私の毎日は長期的な目標から、日々の小さな目標に至るまで、常に目標に満ちています。目標や生きがいは、日々を豊かにし、強く生きる源 となります。みなさんも日々に目標を、そしてよりよい人生を。」と。
 先生は5年先いや10年先の予定まで組んでいるとのことです。

智積院の紅梅から講堂を観る

次回のこの項についても引き続き「名のある人々の言葉」を紹介したいと思っています。