いかに生き、いかに死ぬか

圓應寺 住職法話

住職法話 第7回

日本社会の現状
【福祉的社会学的考察】5~8

「経済的生活の厳しさ 所得関係」

 私の法話は「いかに生きいかに死ぬか」というテーマで今年の4月、Ⅰ「日本社会の現状」からはじめ、先月のⅤ「仏教に見る祈りと教え」で一巡しました。
 今回から再度、「日本社会の現状」に戻り話を進めて行きます。そのはじめに4月にも触れましたが、生活の厳しさの面で、所得関係を見ていきたいと思います。

Ⅰ-5.減少続く世帯平均所得

 所得額は、ピークであった94年(664万2千円)から一貫して減少しています。
 2011年5月の厚労省発表によりますと、08年の世帯当たりの平均所得額は547万5千円となりました。この金額は94年より117万円も少ない金額です。しかも300万円以下の世帯が四分の一以上という実態です。

 バブル崩壊、リーマンショックそしてこのデーターには入っておりませんが、東日本大震災、超円高と続く今の日本。この後も厳しい状況が続くのではないでしょうか。

出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」より作成

 4月の法話で、今年1月時点の生活保護受給世帯は144万、受給者199万9千人と述べましたが、その後の9月6日厚労省発表によると5月時点では受給世帯数は過去最多を更新し、147万1千世帯。受給者は203万1千人で、戦後混乱期の過去最多であった51年の204万人に迫る水準になってしまいました。
 厚労省は、東日本大震災の被害が甚大な地域を中心に、失業手当の給付を90日間再延長する方針を発表しましたが、年明けの給付切れ時期以降には、生活保護の受給者が増え、204万人を越える可能性があるのでは‥‥?

Ⅰー6.民間給与の年次推移

出典:国税庁「民間給与実態統計調査」より作成

 08年の国税庁発表によりますと、年収200円以下の階層に属する人が、年々増え続け、1032万人となりました。
 ここにも所得の厳しさと、次の項で見る「格差拡大」の問題を見ることが出来ます。

Ⅰ-7.所得格差拡大

格差社会の拡大

  • 90年頃の日本社会は「総中流社会」
  • 二人以上世帯で預貯金等を持たない世帯は22.3%
  • 保有額平均は 1169万円
  • 無保有世帯を除くと 1542万円
  • 単純な順位での真ん中は 500万円
  • 無保有世帯を除いた真ん中は 820万円
  • 一部の富裕層が平均を引き上げ大半は平均以下が実態

2011年2月17日付 山形新聞より要約引用

 今年2月17日の、当地・山形新聞に掲載の記事によると。全世帯の貯蓄保有額平均は1169万円だが、無保有世帯を除くとその平均は、1542万円に跳ね上がってしまう。
 単純な順位の真ん中は、500万円であるが、無保有世帯を除いた真ん中は820万円と同様に跳ね上がってしまう。
 又、二人以上の世帯で預貯金を持たない世帯は22.3%もあり、一部の富裕層が平均金額を引き上げており、世帯の大半は平均以下が実態としている。
 90年頃の日本社会は「総中流社会」と言われていたのだが‥‥。

青海・チベット鉄道からの山々

Ⅰ-8.家庭貯蓄率の激減

出典:内閣府「国民経済計算確報」より作成

 この様な実態は、少し古い統計になりますが、この折り線グラフを見るとより鮮明です。73年度は23.2%あったものが、04年には2.7%に激減しております。この様に、現在の日本は所得の減少と共に、所得の格差が拡大している大きな問題を抱えた社会と言えるのです。